東北の山遊び

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zoom RSS 2009.4.19 家形山・相ノ峰から仙台神室(宮城・二口山塊)

<<   作成日時 : 2009/04/20 11:55   >>

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 5 / トラックバック 0 / コメント 8

仙台神室(神室岳)から東に遠大な尾根が派生する。神室東稜と一般的に呼ばれているその尾根は、かつて三神歩道と称する登山道が開削されていた。(昭和30年代末に開かれた。)
しかしどうした理由か、その後は道の整備が一切行われず、現在は廃道となっている。
私は25年以上前に二度この道を歩いているが、最近の記録は一部の山岳会が冬季に集中登山をしたものしか見出せなかった。”残雪期の今は歩けるのか?”この疑問の答えを探すべく、急遽歩いてみることにした。

【 4/19 家形山(890M)・相ノ峰(1195m)を経て仙台神室(1353m)へ(宮城・二口山塊 】
泣虫沢出合付近で二口沢渡渉〜718m独標〜家形山〜相ノ峰〜風の堂山〜風の戸渡り〜仙台神室〜ダンゴ平〜山形神室北側の三叉路〜屏風岳〜鎌沢の頭〜清水峠〜二口林道最高点〜二口林道を下って:石橋沢出合付近の車デポ地点(歩行距離16km、累積標高差1687m)
(注)このコースは廃道化しています。川の渡渉・薮漕ぎ・雪壁の登りなどをこなせるエキスパート向きです。

今回のメンバー:ebiyanさんの車を二口林道の石橋沢出合付近にデポして(これ以上はデブリが道路上にあり進入不可能であった。) SONE車で登山口である姉滝上流に戻る。
しかし渇水期なら飛び越せる程度の沢幅しかない二口沢は、雪解け水を集めてかなりの水量である。
渡渉で転倒した場合、直ぐ下にドウドウと落ち込む姉滝の滝つぼに吸い込まれてしまい助からない。
そこで安全な渡渉場所を上流の泣虫沢出合付近に求めた。
足の長いebiyanさんは膝たけの渡渉であったが、足の短いSONEは腿まで水に浸かる。
今回渡渉で威力を発揮したのがネオプレイン製の長靴用防寒くつ下。これ全然冷たくない優れものだった。

第一関門の渡渉を終えて、泣虫沢右岸尾根に突上げる急な斜面を木に掴まりながら登る。
尾根に出ると立派な登山道がある。泣虫沢の遡行者が下山に利用するため、現在でも整備されているみたいだ。
尾根の途中からは磐司岩を一望にできるポイントがある。
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効率の良い急斜面の登りで高度を稼いでゆくと718m独標に着く。「松の峰」の看板通りキタゴヨウが多い。
ここから少し下ったところに露岩があり、北側に二口山塊の盟主:大東岳が大きく望める。
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そして泣虫沢の奥に、これから登る相ノ峰が見える。まだまだ遠い。
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途中でイワウチワの群落が断続的に現れる。        家形山の山頂。仙台山想会設置の看板である。
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家形山からの下りではシロヤシオの木が多い。泣虫沢奥壁を右下に見下ろす辺りから急に道が薮っぽくなってくる。でも古いテープが付けられていて登っている人は多いみたいだ。
相ノ峰手前のコブの登りから振り返ると、越えてきた家形山の上にピラミダルな三方倉山が見えていた。
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尾根が平坦になった地点では広い雪堤が続いており、やっと相ノ峰が姿を現した。
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雪堤の南側には雁戸山と屏風岳(南蔵王)の展望が開けていた。
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休憩中に見つけた今年初のダニ公。       相ノ峰の登りは気持ちよい残雪のブナ林。
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ブナ林の右側に沢の源頭部に当るオープンバーンがあり、絶好の展望地となっていた。
糸岳の左手には鳥海山が遠望できる。
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そして大東岳と面白山方面の絶景が広がっていた。手前の磐司岩も大分低い位置に見える。
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相ノ峰山頂は南北に長く、展望も東側のみでイマイチの感があり休まずに通過。ここまでは断続的にビニールテープのマーキングがあった。この峰までなら残雪期の山に精通した登山者なら問題なく登れると思う。
そこから南下すると目立たないジャンクションピークに出る。仙台神室へは西に直角に派生する尾根に入る。
この地点で初めて風の堂山と、その奥に仙台神室の姿が確認できる。
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そして本日最大の関門:風の堂山の薮薮なヤセ尾根の通過である。
JPから直ぐに猛烈な薮漕ぎが始る。蟻の戸渡りと名称が付いても可笑しくないナイフリッジの露岩を通過。
踏み跡はほとんど無きに等しく、イヌツゲ・シャクナゲ・ネズコ・リョウブ・ミネザクラなどが強烈にスクラムを組んで立ちふさがる。ときどき出てくる残雪が有り難い。手足をフルに使って薮漕ぎを続けるが、特に北斜面は絶壁となっており、足の置き場にも配慮が必要で気が抜けない。
一番の難関はイヌツゲ&ネズコの生えた小さな岩場の通過。北側の雪の超急斜面を時間をかけて足場を切ってトラバースした。

しかし厳しい行程ながらもヤセ尾根ゆえに展望は抜群である。薮漕ぎに疲れた身体を展望が癒してくれる。
南側には蔵王連峰を新鮮なアングルで眺めることができた。
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北西側には二口峠の奥に月山と葉山が並んで見える。
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ようやく風の堂山の岩塔に到着。風流な名前の山だが、風の音がなまって風の堂(洞)になったと言われる。
このピーク北東の風堂沢は風の集まる沢で、その源頭に当る山という意味であるらしい。

風の堂山からの下りは酷い。イヌツゲの密薮でまったく足元が見えない状態であった。
苦労して下ると次の岩コブの乗っ越し。ピーク直下まで急な雪の斜面が繋がっているが、最後の部分に雪割れがあり足場が切れない。ピッケルのピックで雪下の潅木を掘り出し、ピックを引っ掛けて片手懸垂状に身体を引き上げた。これは女性では苦しいのでebiyanさんには右手の薮を突破してもらう。
登りきったところから振り返ると、風の堂山の岩塔全景が見える。
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もう一つの岩塔上には仙台神室東面の大絶景が待っていた。落差100mの南東壁を持つ男性的容姿を至近距離から見る感動は、壮絶な薮を歩いて来たお駄賃であろう。
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風の堂山の頂稜から鞍部に下りる地点の判断が難しい。密薮の尾根を直角に右に下るのである。
山勘で薮を漕いで下ると、腰丈のササが茂るブナ林となり、鞍部手前でやっと残雪に乗れた。
相ノ峰から風の堂山を経て、鞍部手前までの直線距離は約1km。その区間の通過に2時間もかかってしまった。
如何に猛烈な薮との格闘があったかの証左であろう。

そして鞍部から仙台神室山頂までの高差は残り200m。気持ちよいブナ林の急斜面をキックステップでザクザク登る。お昼を過ぎているため二人ともシャリバテ気味。
風の戸渡りと呼ばれている緩斜面にかかる地点から、二つのピークを持つ風の堂山を振り返る。
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最後の難関:東面の雪壁は右側の傾斜が緩い部分を選んで登った。それでも斜度は40度を越えていたであろう。
ほぼ登りきった地点から神室東稜を振り返る。長い長い尾根であった。
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今までの行程とは打って変った穏やかな仙台神室の頂稜を行く。
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大東岳も遠くに見えるようになった。その奥には船形連峰。さらに奥には栗駒山まで確認できた。
それにしても左下に見える二口林道は、二度と消えない傷跡のように見える。
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そして終に仙台神室山頂に到着。いやぁ〜歩き通した感動よりも、腹が減ってしょうがない(苦笑)
採り合えず飯を食うことが最優先。そして雪で冷やしたビールの旨さは格別であった。

しかしこの先の行程も長いので、あまり長休みも取れずに出発である。
山頂からの下りで、次に目指すピーク:山形神室が見える。またまた標高差200m弱のアップダウンだ。
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山形神室を越えても、屏風岳と鎌沢の頭のアップダウンが待っている。
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しかしながら登山道に出ると、整備された道の有難みがよーく分かる(笑)
ダンゴ平付近から眺めた仙台神室は何時もの見慣れた山容である。
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ダンゴ平からの登り返しは、夏場でもうんざりする急登。雪が腐ってきて踏む抜きが多く苦労する。
上部の展望岩まで登ると、後は緩斜面が山形神室分岐の三叉路まで続く。
そこから山形神室を眺めるが、尾根上の一高点的な山容でパットしない。
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三叉路で少し休憩。ここまで実に8km歩き、8時間もかかってしまった。この時間なら飯豊本山にも楽に登れる。

三叉路から県境稜線を北上する。屏風岳付近は矮生ブナの独特な森である。
残雪で登山道は確認できないので、以前歩いた記憶を頼りにドンドン進む。
屏風岳を越えて鎌沢の頭手前の小ピークにかかるところからは、越えてきた仙台神室が端整な三角形に姿を変えていた。
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鎌沢の頭の通過は予期せぬ難所であった。ザックリと切れて絶壁となっている右側に雪庇が中途半端に張り付いている。雪庇は割れが随所にみられ、西斜面の薮に逃げ込むことが多かった。

清水峠から雪堤上を行く。ここで仙台神室から見えた、山腹に続く旧道を歩けないか? 少し突っ込んでみるが、薮に覆われて通行不能と分かる。仕方なく僅かに登り返して残雪の登山道に戻り、二口林道へ向かうことにした。
二口林道の最高点には2人分の足跡が宮城側から登ってきていた。
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後は残雪の二口林道を下るのみ。本日歩いた山々を今度は北側から眺める番である。
時間が遅くなっているので、道端にあるフキノトウには目もくれずに、ebiyanさんと山談義をしながらも足早に歩く。
途中で禿沢にある落差40mを越える銚子大滝などを眺めながら下っていくと、やっとデポしたebiyanさんの車に戻れた。約11時間強の行動であった。
今回、女性ながら、これだけハードなルートを、渡渉・薮・残雪も苦にせず歩き通した ebiyanさん は大したものである。25年前に歩いた記憶を辿りながらの、本当に充実した一日であった。











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コメント(8件)

内 容 ニックネーム/日時
ん〜むと、うなる山に行きましたね。
ここは廃道化なんでしょうが、某登山家の本を見ていて興味津々でしたよ。
連絡があった時にはあ〜残念…でも、わしは大変だったかな。(;゚゚)
この前の寺ノ沢山から眺めた山並が間近に見られて、いがったよー。
ヤブ漕ぎありで歩行距離16km、累積標高差1687mとはこれまたぶったまげたね。
とにかくebiyanさんのガッツにはたまげました。
スズ7
2009/04/21 06:38
16km&1600m/overかあ、ebiyanさんスゴイね!
ゲートが見える残雪量、もう雪山なら標高かせぐしかなさそう。

そしてダニ公もでかいね! 動画撮ったかい?
タッシー
2009/04/21 10:13
スズ7さんこんにちは。
標高1300m級の山なのに、飯豊や朝日を歩いてきた様な満足感が得られるルートでした。
でもあの密薮を考えると、一般登山者では太刀打ちできる山では無くなっていますね。
寺ノ沢山は相ノ峰付近から眼下に見えていましたよ。
>とにかくebiyanさんのガッツにはたまげました。
その通りです。女性でこの難コースを歩き通せた事は誇りに思っても良いと思います。
SONE
2009/04/21 11:45
タッシーこんにちは。
ちゃんと整備されている登山道歩きなら16km&1600m/overもキツクないのだけど、
薮漕ぎ&残雪のキックステップ連続だと20km&2000m/overを越える体力が必要だね。
本当に残雪が少なく、薮の露出が顕著で苦労したよ。あと2週間早ければ楽だったかな?
あのダニ公は馬鹿でかい奴だった! 余裕がなくて動画とらなかった(残念)
SONE
2009/04/21 11:54
後ろから付いて歩く楽をさせてもらって感謝感謝です。
ずっとステップを切りながら進むのでたいへんだろうなあと思いながらも
お任せするほうが安全なコース取りができるとおんぶにだっこをさせていただきました。
おかげで歩き通すことができました。
いやあ〜それにしてもこんな満足感を味わった山歩きは久し振りでした。
藪のたいへんさは忘れて楽しかった思い出として残りそうです。
♪oh my danny boy〜♪かわいかったですね。
時間が迫っているのにそれでも採りたかったフキノトウ。残念!じゃかじゃん。
ebiyan
2009/04/21 18:49
ebiyanさん今晩は。
今回は革製登山靴だったので、2発づつキックしないと安全な足場が切れない状態でした。
でも結果的に歩けたのは、山に対する総合力が備わっていたからで自慢できると思いますよ。
残雪の薮山を踏破すると、普通の山では味わえない満足感に浸れますね
私も25年前の記憶を回想しながら歩けてとても楽しかったです。
フキノトウは新しい食べ方が分かると、ほってはおけない山菜になってしまいますね(爆笑)
SONE
2009/04/21 19:35
トップ画面が、うなる雰囲気。
仙台山脈にふさわしいおもむきですよ。
いとも、簡単にここに登れるとはため息まじりで見ていましたよ。(^o^)
スズ7
2009/04/23 23:26
スズ7さん今晩は。
大東岳を中心とした二口山塊は、標高から言うとC級並の山々の連なりですが、
実際登ってみると、自然が作り出した造形の妙を感じてしまいますね。
私は二口山塊で登山のイロハを覚えたと言っても過言ではありません。
この山域を縦横無尽に歩ければ、どんな山でも対応できると信じています。
SONE
2009/04/24 00:48

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2009.4.19 家形山・相ノ峰から仙台神室(宮城・二口山塊) 東北の山遊び/BIGLOBEウェブリブログ
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