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zoom RSS 2009.6.28 森吉山(トウド沢遡行〜赤水沢下降)

<<   作成日時 : 2009/06/29 18:59   >>

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森吉山の北東地域にあるノロ川最奥のトウド沢や赤水沢は、巨木の茂る原生林と迫力あるスラブの中に、滑床が何処までも続く最高の沢登りフィールドである。今回、秋田の山仲間:なんどさんのお誘いで、以前から訪れてみたかった、ノロ川源流域の二つの沢を周回する事ができた。
そこはコアニチドリやニッコウキスゲが咲き誇り、真夏の様な下界の暑さを逃れた涼味満点の沢であった。

【 6/29 森吉山(トウド沢遡行〜赤水沢下降) 秋田・森吉山 】
トウド沢遡行:ノロ川キャンプ場:クマゲラ保護センター〜赤水沢分岐〜桃洞の滝〜中ノ滝〜男滝〜源流部の二股〜938m独標コル

赤水沢下降:938m独標コル〜赤水沢枝沢源流〜赤水沢本流出合〜兎滝〜赤水沢分岐〜ノロ川キャンプ場:クマゲラ保護センター
(注)桃洞の滝までは整備された登山道がありますが、それ以降の行程は沢装備と経験者の同行が必要です。
参加メンバー:Yさん(L)、なんどさん、Keikoさん、Hitさん、クマクミさん、Yataさん、SONE。

森吉山を訪れるのは何年ぶりだろうか? チングルマが咲き誇る山上の楽園が、今でも脳裏に浮かんでくる。

朝7時30分に湯ノ岱の森吉山荘に集合する。仙台からは高速道利用でも4時間かかった。
湯ノ岱からはノロ川林道を走行してノロ川キャンプ場に着いた。(ダート走行と思っていたら全線舗装で快適。)

クマゲラ保護センターの立派なトイレと管理棟の脇をすり抜けて登山開始である。
小沢を渡って少し歩くとノロ川支流の立川の流れに突き当たる。ここには頑丈な橋が設置されていた。

ここから約2km弱の広葉樹の原生林が素晴らしかった。ここは森吉山で初めてクマゲラが確認された場所らしい。
ブナ、ミズナラ、トチノキ、サワグルミなどの巨木林が延々と続く様は、ここだけ見てだけでも来た甲斐があった。
クマゲラは今でも健在だそうで、新しい食痕跡も見つかっている。正に未来に残したい自然である。
因みにこのノロ川源流域は国設鳥獣特別保護区であり、イワナも禁猟区になっていて釣りは一切できない。

朝日が差し込む森閑とした原生林。湿地にはモリアオガエルの泡状の産卵が見られた。
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約40分ほど歩くとベンチがある赤水沢分岐に出る。桃洞の滝に向かうのは右の道。トウド沢の穏やかな流れを左に見ながら歩いていくと、最初に沢に近づいたところから入渓。ここから岩盤の滑床歩きの始まりである。
沢自体は実に穏やかだが、見上げる両岸のスラブに圧倒される風景が広がっている。
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約1kmの遡行で本行程の最大の見所:桃洞の滝に到着する。女滝とも言われるこの滝の造形は自然が作り出した芸術である。
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一見すると登れない様に見える桃洞の滝であるが、左岸に足場が削られていて簡単に登れた。しかし桃洞の滝上部の沢筋は更に危険箇所が多くなってくるので、一般的なハイカーや登山者は立ち入らない方が無難である。

桃洞の滝を過ぎると2〜3mの滝が続く場所があり面白くなってくる。
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途中の4m滝は左岸の足場を使って慎重に越えた。
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小規模な連瀑帯を抜けると再び谷が開ける。両岸は草付のスラブが広がり、ニッコウキスゲが沢山咲いていた。
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沢が大きく右に曲がった先に、左岸から顕著な枝沢が流入してくる。出合から直ぐに八段の滝と呼ばれる連瀑帯が続いていた。
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この先に小規模なゴルジュをみて、さらに遡行すると中ノ滝に着く。右岸水際のステップを利用して登る。
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沢筋の湿ったところに多く咲いていたオオバミゾホウズキ。
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そしてトウド沢最後の大きな滝である男滝に着く。男滝の名前の由来はよく判らないらしい。
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この滝も左岸に足場が切られているが、直登できそうなのでSONEが試しに右岸から登攀してみた。
中段にある左上するバンドまで登れば楽勝と思ったが、そこに上がる最後の一手のホールドがない。
仕方なく先に登ったYさんにトップロープで確保してもらい、微かなホールドで強引に身体を引き上げて完登できた。
Yさんとなんどさんに「一番美味しいところを持っていかれた。」と言われた(苦笑)

フリーで攀じるSONE。この直ぐ上の一手のホールドが数ミリしかなく苦労した。(なんどさん撮影)
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さて、YさんとHitさん以外の面々はこの滝で苦戦していた。何でも右壁の足場に泥が付いて滑り易くなっていたとか。やはり安全を考慮してロープ確保して登らざる得なかった。
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男滝を越えると難場は終了。あとは再び穏やかな岩盤の滑床の遡行が何処までも続く。
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水の流れが細くなってくると同時に、両脇の木々が沢上に張り出して歩き難くなってくる場所もある。
しかし少し開けた場所で周囲の植生を見渡すと、山全体が桃洞杉と呼ばれる天然杉に覆われていた。
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そして問題は沢のツメである。毎年この沢を訪れているYさんとなんどさんだが、983m独標峰の南側コルに乗り上げる最終局面で何回も迷ってしまうらしい。昨年はうまく行ったそうだが今回は失敗。約30分の薮漕ぎロスになってしまった。正確に辿った場合の藪漕ぎは5分もかからないらしいが・・・でも薮漕ぎ大好きな私には楽しかった

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GSPで軌道修正して正規のコルに出た後は右側の沢に向かって急坂を降りると赤水沢の枝沢の源流部にでる。
この沢もやはり岩盤の滑床が続く。Hitさんとクマクミさんはトレラン用の靴で登っていたが、下りは滑って使い物にならないので、Yさん持参の荒縄を靴に巻いて下ることにした。その効果は抜群で、少し急な滑滝も意外と安全に下っていける。
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途中一箇所だけ傾斜がキツく滑り易い滝があり、そこでお助けロープを出した以外はスムースに下降できて赤水沢本流に降り立った。ここには玉川温泉への道標もあり、登山道的な扱いになっている。
湧水豊富なこの河原でゆっくり昼飯とした。特にいろいろ美味しいものをご馳走いただいたKeikoさんには感謝感謝。
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赤水沢はトウド沢よりも規模が大きく沢筋も開けている。最初は滑の岩盤を鼻歌交じりに下っていったが、両岸が狭まってくると小さな滝が出てくる。
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途中にある6m程度の無名滝。足場のステップが薄く苦労している先行者を上から見ていたHitさんとクマクミさん。
何を思ったのか深い滝つぼにダイブすると言い出した。始め冗談かと思ったら本気らしい。
皆の注目の視線を浴びながら・・・・・・・Hitさんが終にダイブ!
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暫く躊躇していたクマクミさんもダイブ! シャッタータイミングを計れずに泳いでいる写真のみでスイマセン(笑)
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何と言うクレージーな連中か! 皆で呆れ、開いた口が塞がらなかった。
その後はまた単調な滑床下りが続くが、暫くするとまた大きな滝が現れる。落差10m前後か?
ここは左岸から簡単に下れる。
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この小さな滝は右岸沿いに木を掴んで降りた。
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小規模なゴルジュは水際を慎重に辿る。
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そして最後の難場:兎滝の上部まで来た。右岸には開けたスラブ側壁が張り出している。
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兎滝はその上部の滝を含めて2回の懸垂下降が必要であった。パーティの人数が多いので通過に意外と時間がかかってしまった。
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滝の下で待っている間にクマクミさんの靴に巻いた荒縄を激写。秋田のナマハゲだ! と皆に笑われた。
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全員下ってから兎滝を振り返る。想像を働かせて見ると、横を向いた兎の姿が浮かんでくる。
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実は、遠路はるばる森吉を訪れた目的は沢の遡行だけではなかった。この険しい沢筋に秘かに咲くコアニチドリをどうしても見たかったのである。しかし現物をみた事がないので、花の大きさや咲いている場所が掴めないでいた。
すると後方を歩いていたなんどさんから「コアニチドリ見つけたよ〜〜〜」と声がかかった。
ありましたありました。想像していたより遥かに小さなラン科の花だった。でも花びらの可憐さは美しいの一語。
クマクミさんが「流氷の天使:クリオネみたい! 綺麗で可愛い”」と大感激していた。
生えている植生環境を観察すると、湿った岩場が好きな様である。その後は何箇所も群生地を発見できた。
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(注)コアニチドリは秋田県の小阿仁川で初めて発見されたラン科の植物です。多雪地帯の湿原や岩場に生えると言われていますが、国の絶滅危惧種にも指定されている稀少な植物でもあります。
今回遡行した沢は沢登りのベテラン同行でないと危険性が高い場所なので、乱獲される事はすくないと思い情報を載せましたが、皆さん、咲いていても決して採取せぬ様お願い致します。


そして同時に沢山咲いていたのがトキソウ。写真にはないが湿った崖に自生しているモウセンゴケも初めて見た。
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その後も小さな滝が現れるが、赤水沢は更に開けた感じになってくる。
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正面から西陽を受けながら、長〜い長〜い沢の下降が続く。湧水も豊富で乾いた喉を潤してくれた。
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ふと深い渕の底を見ると25cm級のイワナが泳いでいる姿が見られた。皆で覗き込んでいるのに一向に逃げる気配も見せない。禁猟区であるので人に対する恐れを持っていないのである。
こんなところからも、ノロ川源流域の大いなる自然の姿が印象付けられた。

やがて長かった沢の下降も底に砂が堆積した渕で終わりを告げる。
左岸の登山道に上がると、赤水沢に沿ったブナ林の道を歩く。岩盤の上ばかり歩いてきたので、腐葉土で柔らかい道にほっとする。そしてベンチのある赤水沢分岐のところで長い周回ルートが終わった。

再び朝歩いた原生林の中を戻っていくと、木道の脇に蕾のショウキランを見つけた。
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ごご6時近くなって車に戻る。その後、森吉山荘の温泉で汗を流しさっぱりした。
ここから仙台までの長距離運転が待っている。途中で食事を取ったりして帰宅できたのは24時を廻っていた。

それにしても想像以上に素晴らしい沢であった。沢初心者でも経験のあるリーダーの下に行動すれば大丈夫な易しい沢ながら、そこに展開する風景は誰もが魅了されてしまうであろう。

今回お誘いくださったなんどさんと、山行中ご苦労の連続だったリーダーのYさんには改めて感謝を申し上げます。

なんどさんのHPは → コチラ



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コメント(14件)

内 容 ニックネーム/日時
大きな写真と的確な文で
森吉の沢の魅力が表現されていて
山渓の記事より吸引力あります。
さすが〜 
y氏も多分大喜びでしょう
帰路は往路に比べ時間短縮できましたか?
なんど
2009/06/30 05:34
沢歩き行きたかったですねぇ〜。
色んな滝、花、滑床、そして花々に魅了です。
何と、滝壺に撃沈する勇ましさに乾杯ー(^o^)
それにしても遠路でお疲れ様でした。
スズ7
2009/06/30 07:17
なんどさん、素晴らしい沢にお誘い頂き有難うございました。
的確な文なんて褒められると恥ずかしくなります。
ボキャブラリーが貧困なので、写真で誤魔化しているだけですよ〜(苦笑)
帰路はカーナビに頼って失敗しました。カーナビの奴、十和田IC経由の道を指示してしまい、
結果的に往路より30分余計に時間がかかってしまいました(ガッカリ)
SONE
2009/06/30 09:24
スズ7さん、おはようございます。
夏みたいな陽気でしたので、避暑には最高の沢でしたよ。
森吉山行ったら山頂に登るだけでなく、桃洞の滝を見学する事をお勧めします。
あの滝壺ダイブ、こんな事する人達初めて見ました(爆笑)
SONE
2009/06/30 09:34
森吉まで日帰りですか〜。
すごいですねえ。
今はETC1000円ぽっきりだからいいけれど、カーナビで高速のICの
お金のかかる方を案内されたりすると、ちょっと〜!って思わず怒って
しまったりします。
それにしても次々と現れるきれいな滝・滝・滝。
すばらしいです。
コアニチドリ可憐ですね。
いつか見てみたいものです。
ebiyan
2009/06/30 12:13
ebiyanさんこんにちは。
今回みたいに、山の行動時間が10時間近いと森吉日帰りはハードでしたね。
高速千円だから行けたようなものです(苦笑)
森吉は泊りで行って、山の翌日に桃洞の滝や安の滝を見学したら最高の山旅になりますね。
コアニチドリは本当に小さな花でしたが、可憐さでは他のラン科の花より勝っていましたよ。
SONE
2009/06/30 12:41
あらあー行ってしまったのねえ。すばらしいところだね!
日帰り!? キビシイーっ!! 泊まりで、ぜひ行きたいものです。
ところで黄色いドカヘルかぶってた?
タッシー
2009/06/30 15:06
タッシーこんにちは。いやぁ〜誘う前に「犬仲間とキャンプだ!」と先制攻撃されてしまったので、言い出し難かったよ(苦笑)
今回のコースで日帰りは無謀だったね。いい所なので今度は泊りでゆっくり行きましょう。
でも桃洞の滝から上、サクラは絶対無理だったなぁ〜〜〜。
この記事にはオイラが写っている写真はないよ。被っていたのは白ドカヘルでした(笑)
SONE
2009/06/30 15:59
気持ち良さそうですね。地元の方のお気に入りのコースでしょうか。
それにしても良い所ですねえ。うっとりします。
私の暑苦しい山行とはえらい違いだ。(爆
みいら
2009/07/01 19:17
みいらさん今晩は。
あの猛暑を微塵も感じさせない、最高の山だったですよ。
大東岳の大行沢も滑床の沢ですが、森吉の沢は開放感では一段上でしたね。
みいらさんのゲレンデ登り。どう考えても暑過ぎですって(爆笑)
SONE
2009/07/01 20:27
 おっ、今週は爽やか沢屋さんのSONEさんですね。
 コアニチドリ、はじめて見ました。可愛らしい花。貴重な花を教えていただき有難いです。実物を見ることは叶わないのでコチラの記事で満足満足!。
テントミータカ
2009/07/02 18:45
テントミータカさん今晩は。
沢屋さんなんてトンデモナイ 
30数年ぶりに沢装備が必要な沢に入った、なんちゃって沢屋ですから(苦笑)
でもやはり沢登りは涼しくてイイですねぇ〜。沢の世界に復帰したくなりました。
コアニチドリ。私も今回初めて見たのですが、長さ1cmにも満たない小さな花でしたよ。
各地の湿原で見つかっているそうですので、意外と気付かないだけかもしれません。
何時か実物を見られるかもしれませんね。
SONE
2009/07/02 19:25
SONEさん、こんにちは!
昨日秋田にある大白森に登って来ました。
山頂が広大な湿原になっているとの情報を得て
初めて行って来ましたが、とてつもなく広大な湿原で感動でした!!!
その湿原で見た花の名前が思い出せなくて
SONEさんの記事に確か載っていたなと思い出して
再度記事拝見しましたところ、ビンゴでした!
SONEさんの記事は花も大きく撮影していらっしゃるので
とても参考になります。
桜子
URL
2009/07/07 10:12
桜子さん、こんにちは。
大白森は秋田駒から八幡平の展望が湿原越しに見られて最高ですよね。
私が登った時には花があまり咲いていなかったのですが、今の時期が一番花の多い時期なんでしょうか。
>花も大きく撮影していらっしゃるので・・・って言うか、私のはコンデジなんで失敗作が多いのが悩みです。接写すると広角マクロなのでどうもピントが甘くなってしまいます。
お金があれば、デジ一眼+マクロレンズが欲しい今日この頃です(苦笑)
SONE
2009/07/07 18:03

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