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zoom RSS 2009.6.7 竜ヶ岳と目指岳(福島・西会津)

<<   作成日時 : 2009/06/08 22:49   >>

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西会津町の会越国境付近は、雪崩によりスラブの発達が顕著な山々が連なっている。
昨年11月に同山域の木地夜鷹山に登った折、県境北側に位置する目指岳と竜ヶ岳の魅惑的山容が印象に残った。そこで今が花盛りと思われるヒメサユリを期待して、この二山を訪ねてきた。

【 6/7 竜ヶ岳(532m) 福島・西会津 】
安座集落・田部さん宅〜尾根取り付き〜稜線分岐〜竜ヶ岳〜稜線分岐〜西側2番目の峰まで往復〜稜線分岐〜尾根取り付き〜安座集落・田部さん宅
(参加:Yataさん、Hataさん、Igaさん、Satoさん、さっちゃん、Akeちゃん@山形,スズ7さん,Sone@宮城の8人)

この日、本当は蔵王連峰の山を歩く予定であったが、生憎の梅雨を思わせる天候から中止とし、前日に急遽決定したのが上記の二山である。従って約束していた山形メンバーがそのままスライド参加。それにスズ7さんが加わった8人での賑やかな山行となった。残念ながら相棒のタッシーは腰痛養生のため参加を見合わせた。

最初は目指岳から登ろうと考えていたが、西会津町に入ってからも天候が安定しない。
時折弱いにわか雨模様で、大倉山や目指岳の山頂も雲がかかり見えないため、山頂までバッチリ見える竜ヶ岳に最初に登る事にする。
国道49号から安座方面への道に入ると、右手に凝灰岩の岩肌が顕わな竜ヶ岳が見える。
下安座集落の入口右側に「竜ヶ岳」の看板が確認できた。右折して安座川を渡り、次の三叉路をまた右折。狭い舗装道路を進んでいくと、道は最奥の民家(田部さん宅)の敷地内に入ってしまう。
駐車地点が見出せないため、その民家のご主人にお伺いを立てると「敷地内のココに車を停めて登ってきてOK」と
快く駐車を許可して頂いた。「竜ヶ岳の取り付きも、この山道を歩いていくと看板があり直ぐ分かる」と有り難いお言葉。初めての山(特に低山)は登山口探しと駐車スペースの確保が一番の問題なのである。

(注)会津百名山ガイダンスによれば、登山起点となる田部さん宅は今でも「お湯の家」と呼ばれ、正中温泉摘翠館を経営しておられた。(昭和31年の水害被害により、その後の昭和36年に廃業。)
廃業後に現在の場所に居を構えられ、現在は竜ヶ岳に纏わる史跡の管理に当っておられる。との事。


田部さん宅前より杉林を少し下っていくと穴沢川沿いの水平道になる。やがて若い杉が植林された平な場所に出るが、ここが正中温泉摘翠館跡地である。
進行右側には竜ヶ岳の雪崩で侵食された凝灰岩スラブと、異様に突き出た奇岩が眺められる。
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穴沢川の道は穏やかで、10分も歩かないうちに登山口(尾根取り付き)の看板を見つける。
しかしこの取り付きは間違い易い。看板から数m登った右に細い踏み跡があったが、上部は薮っぽく見えたためにパス。より広く確かな直進する道を選ぶ。だがこの道はどうも山菜採り用の道だったらしい。
少し登ったところで薄い踏み跡になり。、仕方なく正面岩壁を突破すると最終的に行き詰ってしまった。
やはり最初に見つけた細い踏み跡が正規の道だったか? 偵察するため強引に岩場をトラバースすると...
果たしてロープがフィックスされた岩場の中段に出ることができた。後続には正規ルートを登ってもらう。

竜ヶ岳において唯一の難所は、この取り付き部分の一枚岩のスラブであると言っても過言ではない。
岩場自体は足場が豊富で難しくないが、二段階になっている7〜8mの岩場は、傾斜がキツイために慎重な行動が要求される。そして8名パーティで2本のフィックスロープを使用したため通過に時間がかかってしまった。
(注)この山は基本的に少人数の登山向き。人数が多いほど駐車スペースと岩場の通過がネックとなる。

この岩場を通過すると標高差270mを一挙に直登する急坂の登りとなる。
赤松交じりの雑木林が主体であるが、時々左右の展望が開ける。そのどちら側もスラブの発達した迫力ある景観を眺めることができる。
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期待していたヒメサユリの花も丁度見頃を迎えており、一歩毎に高度を上げる急登の辛さを忘れさせてくれる。
その他にはウゴクツクバネウツギやウラジロヨウラク、ヤマツツジと木の花が主体と成って咲いていた。

2/3ほど高度を稼ぐと西側に目指岳の姿が見える。均整の取れたスマートな山容に見とれてしまう。
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それ以上にビックリしたのが、穴沢川源頭に馬蹄形に広がったスラブ状岩壁の連なり。まるで爆裂火口を思わせる地形が、こんなコンパクトな低山に存在するとは思わなかった。
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木に掴まりながら最後の急坂を登ると、いきなり稜線に飛び出す。左右に踏み跡があり、山頂は右へ僅かな距離。
山頂からの展望は東側のみで、西会津町の中心部と、その奥には鳥屋山の平頂が印象的であった。
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山名板もない静かな山頂で少し休憩する。その後、稜線分岐にザックをデポして踏み跡がある西側稜線を探索する事にした。これは正解。赤松やヒメコマツが生える痩せた稜線はヒメサユリロードだったのである。

濃いピンクのヒメサユリと、偶然見つけたトキソウ。
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その稜線の西側二番目の岩峰まで行って探索は終わり。その後の道は薮が濃くて、木々に雨滴が残る薮漕ぎをする気がしなくなった。しかしオイラ一人で条件の良い時期だったら、馬蹄形尾根を周回できる可能性は高い。
(注)後で田部さんに伺ったら、過去に周回できる道があって、今でも踏み跡は残っているとの事。

再び山頂近くの分岐に戻り、往路を返す。超急坂の下りは危険であるが、意外と早い時間で例の岩場上に出た。
またまた人数が多かったために、通過に時間がかかったフィックスロープの下り。
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全員が登山口に降り立ったところで軽く食事を取る。もう時刻はお昼近くになっていた。
「標高500m足らずの山なのに、会津の山は難しい。」皆は口々に言っていた。
そして安全な穴沢川沿いの道を、登った満足感に浸りながら車に戻ったのである。

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さて午後からはダブルヘッダー第二弾、本命の目指岳登山。
この山を一番特徴付けるのは、九才坂峠まで”いにしえの峠道”を歩ける点である。

【 6/7 目指岳(650m) 福島・西会津 】
登山口〜九才坂峠〜目指岳〜九才坂峠〜登山口

九才坂峠(くさいざか)が一番栄えた時代は西暦1600年前半の寛永年間と言われる。
加藤嘉明が城修築の際に、安座の肝いり二瓶七左衛門が車峠・束松峠の新道を開き、木材の運搬にあたった。
その褒章に大倉山一帯の伐採を許可されたのである。その時の木材の伐り出し・搬出作業で多くの人が集まり、新潟県側の土井部落から九才坂峠を越えて安座への物資(塩や米)の運搬は盛況を極めたと推定される。
その後の九才坂峠は生活道路的色彩を強める。戦前までは土井部落の人たちは野沢(西会津)までこの峠を越えて買い物にきていたらしい。当時は車社会ではないので、津川まで歩くよりも、近くて早い峠越えの方が利便性が高いからである。その峠が平成の現在でも立派に保存されているのは奇跡と言ってよいであろう。


余談が長くなったが、竜ヶ岳の登山口から目指岳の登山口は非常に近い。
しかし水沢集落のメイン道路には看板がなく、弘法岩方面に間違って直進してしまった。
Uターンして「おとめゆり(ヒメサユリの別名)群生地」の看板がある林道に入ると、左側に登山口を見つけた。
狭い駐車スペースには既に3台の駐車車両が。仕方なく林道の路肩ぎりぎりに車を停める。

この時点で午後1時近かったが、日が長い時期なので気にせず登り始める。最初は左側に小さな沢を見ながらの登りである。竜ヶ岳の薮っぽい道に比べて非常に整備された山道で楽な登りだ。

この道で目を引いたのがトチノキの花。日本に自生する最大の木の花だが、意外に繊細な造形をしている。
(お詫び)↓の花の名前、間違って記載していましたので訂正します。トチノキではなくホオノキでした。
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小沢の源頭を大きく半時計回りに巻いたところで小尾根に出る。
咲き残りのヒメシャガと、登るに従い花数を増していくヒメサユリが楽しめた。
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雑木林の尾根の北側を歩くところでは、目指す目指岳が雪崩道の筋をつけて厳しい山容を見せる。
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更に進んでいくと緩登となり、南側の展望が一時得られる場所に差し掛かる。
岩だらけの尾根筋と575m無名峰が印象的な景観である。
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その展望尾根を過ぎると、何時のまにか道は若いブナの二次林を通過する様になる。白い樹肌がとても美しい。
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やがて杉の木の下に小さな石祠が祀られた九才坂峠に到着。西側から冷たい風が吹きぬけるが、ベンチも置かれて気持ちよい雰囲気に溢れたこの場所で遅い昼食とした。
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さて皆でお腹も満たされたので目指岳をピストンしてくる。スズさんと私以外のメンバーは空身である。
峠から木に付けられた赤ペンキに沿って歩いていくが、道形は踏み跡程度に変る。
最初の傾斜の緩いコブを越える所のみ笹薮が密であったが、歩数を数えると80歩と僅かな距離の薮であった。
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その後、踏み跡は顕著になり手入れの悪い登山道といった雰囲気となる。
途中の590m峰からは小さな鞍部を挟んで目指岳が目の前に見える。山形の徳網山に似た山容である。
そこから左手に少し下ると鞍部。あとは高さ90mの急登を残すのみ。
両脇の木を手掛りにした急坂は上部で潅木帯に植生が変り、南面180度の展望が得られる。

南西には沼ノ峠山〜談合峰〜鍋倉山が連なり、鍋倉山の下には御前ヶ遊窟の岩塔も確認できた。
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そして待望の山頂に到着。狭い山頂であるが展望はほぼ360度。
今まで見えなかった北側には土埋山と兎ヶ倉山(右)のインプレッシブな三角形が印象的だ。
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南には木地夜鷹山とキツネモドシ、台倉山や一番奥に黒男山まで同定できた。
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さっき登って来た竜ヶ岳も特徴ある山容で見下ろせる。
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南東側には飯谷山の姿も確認できた。
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そしてずっと雲に隠れていた南隣の大倉山も終に姿を現した。
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しかし一つだけ残念だったのは、飯豊、五頭、日本平、御神楽、博士、大戸、磐梯、飯森などの雄峰が頭を雲に隠して見えないことであった。でも最近の雨模様の天候を考えれば、これだけ秀逸な展望を得られた点では最高であった。他の面々も岩肌を纏った荒々しい連山の眺望に大感激していた。
やはり会津の山々は東北の何処にも見当たらない、独特の体臭を持った山が多いのである。

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ここからオマケ

目指岳から往路を忠実に戻り、予想したより短時間で登山口に戻れた。
その登山口から林道を奥につめると例の「おとめゆり群生地」がある。その距離たったの250m。
これは立ち寄らねば、と言うことで車で現地に向かった。

しかし駐車スペースは無きに等しく、路肩に駐車して群生地入口まで歩く。そして左に砂防ダムを見て急な階段を登って行く。階段沿いにもヒメサユリが沢山咲いていて期待が高まる。

「おっ!こいつは綺麗だ!」スズ7さんが思わず叫んだ。
この群生地、竜ヶ岳の馬蹄形尾根の西側の岩壁下にある雪崩のデブリだまりに出現するらしく、自然のままの状態を限りなく保っているものであった。保護用のロープ柵はあるが、人の手で植えられたり、作られたりした公園臭さが全くない。後から登ってきたメンバーもあまりの清楚な花の状景に大喜びであった。
ところで個人的には「乙女百合」よりも「姫小百合」の方がしっくりくる名前だと思うんですが・・・
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コメント(16件)

内 容 ニックネーム/日時
いつも楽しく読ませていただいております。
仙台在住、会社の仲間と「山部」を作って10年になります。

さて、トチノキの花なんですが・・・、初めてみました。
トチノキは私が大好きな木なのですが、いつも見る花とは全然違っていてビックリしました。
山は日々勉強ですね。
Rachel
2009/06/09 09:39
乙女より姫好きなおんちゃん、おはよー。
なかなか皆さん楽しそう! HATAさん、フィックスロープ苦労したんじゃない?
ところで“トチノキ”の花…あんなのあるんだ!? なんで???
毎日見てるけど見たことないぞ!
タッシー
2009/06/09 10:01
竜ヶ岳!
いいですね〜会津百名山の中でも特に興味のある山の1つです。
このレポを参考にして登りに行ってみようと思います。
Mt.Racco
2009/06/09 12:20
Rachelさん初めまして。ご訪問&コメント有難うございます。
私の山行はお恥ずかしながらマイナー山中心ですが、楽しんで頂けて幸いです。
トチノキはでかい葉っぱのみが印象に残りますが、実は花もでかいんです。
但し花びらは結構痛み易いですし、花期が短いので気づかない方が多い様です。
今後は注意して観察してみてくださいね。香りもイイですよ。
SONE
2009/06/09 18:29
タッシー今晩は。
やっぱロリっぽい乙女より、セレブな姫でしょ(笑) その点は同じじゃないの?
例のロープ場の通過は、誰かさん二人のため時間食ってしまいました(苦笑)
栃の木公園のトチノキは、巨木過ぎて花が咲いたとしても見えないんじゃないかな。
良く考えてみると、写真の雌しべがどんな過程を経てアノ大きな実になるのか? そこまで観察していなかったなぁ〜(苦笑)
SONE
2009/06/09 18:38
Mt.Raccoさん今晩は。
面白そうでしょ? 会津百名山の中では、唐倉山に次ぐ岩山の印象を持ちました。
西会津ICや道の駅も本当に近いので、アプローチの良さは抜群です。
訪れるなら秋の紅葉シーズンがベストだと思いますよ。
SONE
2009/06/09 18:45
そっか!ヒメサユリ見物を兼ねて会津の山の手もあったか〜!(笑)。
 竜ヶ岳&目指岳は晩秋時と思い込んでいたもので・・・、ヒメサユリのお花畑も綺麗なものですね。いつかこの目で見てみたいものです。
テントミータカ
2009/06/09 21:11
いやいや、またまたいい山に連れてっていただきました。
西会津と聞いてあらら、もう新潟県、やっぱり県境の土を踏みましたよ。
二大サユリのうち、ヒメサユリ初見参で残るは吉永小百合が残りましたな。
ところで、目指岳山頂直下に、おっ南洋の木かと思ったのがありました。
調べたら、高野槙(コウヤマキ)という木だったのですね。
宮城にはないのでしょう。(^O^)
スズ7
2009/06/09 21:21
テントミータカさん今晩は。お先に登っちゃいました(笑) 
本当はミータカさんに会えるかも? と少しは期待していたんですよ。
この二山に登るならヒメサユリか晩秋の季節がベストでしょうね。荒々しい岩肌に映える紅葉の風景、今からミータカさんの記事に期待してしまいます(気が早すぎ!)
でも全く予備知識がない状態で見たヒメサユリの群生地は本当に見事でしたよ。
SONE
2009/06/09 21:49
スズ7さん、お疲れ様でした。一寸遠距離だけど、本当にイイ山でしたね。
う〜〜ん、ヒメサユリを拝める所は多いけど、吉永小百合は超難関ですねぇ(爆笑)
そうそう、私は展望にばかり気を取られてコウヤマキの事は全く気付きませんでした(残念)
何でも松っぽい葉を持ったスギ科の植物とか。目指岳が北限だそうですよ。
SONE
2009/06/09 21:57
コウヤマキ、大梅寺にあるそうです。
何百年もののコウヤマキが熊に皮をがされたとか。
熊さんは穴の中の蜂を食べに来たみたいですね。
今朝の新聞に掲載されていました。(^o^)
スズ7
2009/06/10 07:17
スズ7さんおはようございます。
へえ〜。大梅寺にもあるんですか。恐らく植えたものでしょうけど、今度行った時には是非見てみたいです。しかしながら仙台市街地から5km圏内の蕃山に、それも東北道の傍に熊が遊んでいるとは! 仙台の自然の豊かさが分かりますね。 
SONE
2009/06/10 07:34
はじめまして
私も同じ日に目指岳に登ってたので、目指岳を検索したらこのサイトを見つけました。
丁度笹藪の所ですれ違った方だわ〜〜と思って、見ててうれしくなりコメントさせていただきました。
祠の所にザックをデポしてましたよね?私達は下山の途中でしたよ。

おとめゆり(ひめさゆり)、飯豊山とは違って、小さく可愛いお花でした。

nya−go
2009/06/19 00:20
nya-goさん初めまして。ご訪問&コメント有難うございます。
いやいや、あの笹薮のところですれ違った方々のお一人とは本当驚きました。
あの半薮漕ぎ状態ではお互いに会話が出来る状態ではなかったですね(笑)
我々は峠で遅い昼食を取ったため、大半のメンバーは峠にザックをデポしておりました。
ヒメサユリ本当に綺麗だったですね。あの花のお陰で目指岳はより印象深い山になりました。

SONE
2009/06/19 01:13
レスありがとうございます。
というか、事後承諾で申し訳ないのですが、私のブログで説明するのに、SONEさんのブログがとっても綺麗に撮れてるので使わせていただきました。ご了承ください。

nya−go
2009/06/19 23:24
nya-goさん今晩は。
拙ブログが少しでもお役に立てれば幸いです。
これからも宜しくお願い申し上げます。
SONE
2009/06/19 23:56

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