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zoom RSS 2009.6.13 蔵王・かもしか温泉跡(宮城・中央蔵王)

<<   作成日時 : 2009/06/14 17:09   >>

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午後1時から登る重役出勤もどきの舞台は、昨年同期にも訪れた中央蔵王のかもしか温泉跡。
同行するのは腰痛がギックリ系と分かり、3週間ぶりに一緒に登る相棒:タッシーとサクラ。
この時期の南蔵王界隈は百花繚乱の世界に変るが、誰にも会わない静寂の世界を愛する我々にとって、お気に入りの場所は非常に地味なかもしか温泉跡なのである。

【 6/13 蔵王・かもしか温泉跡(宮城・中央蔵王) 】
賽の磧駐車場〜ひよどり越え〜濁川〜かもしか温泉跡(往復)

午後1時すぎ、賽の磧駐車場から出発しようとしていると、とある地域のボーイスカウト隊の一群が現れた。
何でも8月に七ヶ宿でキャンプを行い、その時に総勢50数名で登山を企画しているらしい。
今回はその下見だそうで、興味が沸いて予定コースを聞いてみたら、何と!ロバの耳コースとの事。
落石の危険が高い理由から登山禁止となっているコースを大勢で登るのは無謀と、隊長さんと話し合った。
「子供達が中心の登山なら、南蔵王縦走が最もお勧め。」と言う私の進言を汲んで頂いた次第。

仙台を出発する時はときどき小雨が降る生憎の天気だったが、賽の磧付近は青空がでていた。
簡易舗装された遊歩道をひよどり越えに向かって歩く。
賽の磧は溶岩台地で、ハイマツや潅木の中に岩礫が点在する庭園的な雰囲気の場所である。
20年以上前は溶岩がゴロゴロしている荒涼といた風景が広がっていた。しかし土壌の安定化が進んだ現在は樹木の繁茂が著しく、裸地の範囲は大幅に減少している。それに伴いイワカガミなどの高山植物の数も大幅に減った。

南蔵王の屏風岳が、山頂の雲を払って見えてきた。こんな事ならもっと早い時間に来るんだった!
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サラサドウダンの花も咲き始めている。
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イワカガミもちらほら見られた。
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地味ではあるが、小さく可愛らしいツマトリソウ。
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おっ、珍しいベニバナイチヤクソウの花を見つける。
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そして中央蔵王の花の主役:ハクサンチドリ。今年もこの花に再会できた!
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そう多くの花はないが、遊歩道沿いの花を愛でながらひよどり越えまでの道を下り気味に辿る。
中央蔵王の荒々しい姿が目の前に展開してゆく。
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溶岩台地の端で遊歩道が終わる。この場所にはベンチが置かれ、休憩するには絶好のロケーションである。
但し、昭和55年に丸山沢からのホウ雪崩で全壊した「かもしか温泉」に物資を送っていたケーブル用ワイヤーが現在でも残されている。

ここから登山道に入るが、今回の登山は下山から始るのである。
上から眺めると非常に急峻な下りと思われるが、実は九十九折れの穏やかに道なのである。

道の中段にあるガレ場からは五色岳や熊野岳東稜の迫力ある風景が見られる。
振子沢にかかる落差40mの振子滝の姿が特に印象的に見える場所だ。
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既にミネザクラの花は終わっており、木々の葉も色の濃さを増しているが、濁川に近づいた場所ではムラサキヤシオツツジが昨年同様に出迎えてくれた。
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道の脇にはアカモノの花も多い。
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そして濁川の仮設の橋を渡って、落石が転がっていて歩き難い急斜面を登ると石段が出てくる。そこを登りきると平坦で穏やかな道がかもしか温泉跡まで続く。そう言えば濁川の渡渉点付近には大正年間に新関温泉と呼ばれた湯宿もあったとか? 振子沢にも施設は建設されなかったが、自然湧出の振子沢温泉があったらしい。
その意味では中央蔵王は温泉の宝庫と言える。

鮮やかな黄色の花を咲かせるオオバミゾホウヅキ。
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ズダヤクシュの花も群生していると目立つ。
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丸山沢の橋を渡ると、オオイタドリが繁茂する「かもしか温泉跡」に着く。ここが今日の目的地。
丸山沢の残雪とロバの耳の岩稜が目の前に展開し、そして静寂が支配する別天地だ。
今回は傍まで行かなかったが、雪渓の左側にある噴気孔のそばには野湯も存在する。
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「かもしか温泉」の事を覚えている登山者は意外と少ない。一応ネット検索してみたが全壊前の情報はヒットしなかった。そこで私が覚えている範囲の、当時の状況を簡単に回想したい。
この温泉の正式名称は「かもしか温泉白雲山荘」と呼ばれていた。昭和40年代後半のGWにこの地でキャンプをした記憶を辿ると、当時は大学や高校の山岳部&ワンダーフォーゲル部の活動が最盛期であった。
丸山沢の下部一帯は広大な雪原となっていて、数え切れない程のテントが張られており、皆さん雪上訓練の真っ最中。丸山沢の雪渓をアイゼン&ピッケル装備のパーティが何組も登っていた。

我々は南蔵王を縦走してきて、この地に幕営。翌日はロバの耳コースを登って熊野岳に至った。
この時、件の「かもしか温泉」の湯船に浸かったのである。遠い記憶では土間で登山靴を脱いで、板敷きの一階を通って温泉に入ったが、木造の湯殿の湯温は丁度良く、とても硫黄臭い泉質であった。

この建物が現在でも残っていたら秘湯中の秘湯となっていたかもしれない。
ロケーションは安達太良山のくろがね温泉以上の野趣溢れる場所であったし、ロバの耳の岩峰をバックにしたロッジ風の建物は写真映り抜群であった。
私の過去のアルバムを引っ張り出してきて探しても、別の機会にロバの耳から見下ろしたモノクロ写真しか見当たらなかった。あの温泉の正面からの写真を残さなかった事は誠に残念でならない。

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*私は古い山渓の記事を切り抜きにしているのだが、その中に見つけた「かもしか温泉」の写真。
(印刷からのコピーなので、ドットが出ていて見難い。さらにコントラストも強調している。)
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先述したが「かもしか温泉」は昭和55年に熊野岳東面、丸山沢上部で発生した大規模なホウ雪崩によって全壊した。その雪崩の破壊力は物凄く、雪解け後に観に行ったら、粉々に砕け散った建物の破片はかなり下流まで飛び散っていた。聞くところによると過去にも別な場所(東側に基礎だけ残っている場所か?)に建物があり、それも雪崩によって全壊したとか。この温泉の権利者は現在でも土地の使用権を持っているらしいが、再建にかかる費用の捻出は難しいであろう。

タッシーの腰痛の状態(直りかけ)を考えて、この日はこれでお終い。温泉跡地の基礎に腰掛けて遅い昼食をとる。
時々にわか雨が降ってくる安定しない天候であったが、丸山沢の沢音をBGMにのんびりした。
曇りがちで気温が低いためか、見つけたエゾハルゼミも全く動こうといない。
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しかしながらワンサカ集まってくるブユの大群には辟易する。それさえ無ければ、迫力ある景観美を持ちながらも、静かで落ち着ける雰囲気のこの場所は蔵王で貴重だと思うのだが・・・
この時期のブユ対策は虫除けスプレーよりも、殺虫エアゾールを持参して一気にやっつけた方がいいかもしれない。

本日は時間が押しているので、野湯には別の機会に入ることにして往路を忠実に戻った。
下山がひよどり越えの登り返しとは、実に妙な山歩きであるが、途中の冷たく旨い湧水に元気付けられ、一気に溶岩台地の平坦部に乗り上げたのである。本当に誰もいない静かな山を満喫できた。

でも夏山になると薮漕ぎは厳しいので、この時期は毎年同じところばかり行くようになってしまったなぁ〜(苦笑)




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コメント(12件)

内 容 ニックネーム/日時
オッ、そうすると、不忘山あたりの時間がヒヨドリ越えでしたね。
一瞬の雨雲が吹き飛び青空になりましたよ。
それにしてもカモシカ温泉は傷ましいねぇ。
我も丸山沢で雪上訓練をしたのですが、カモシカ温泉はあまり記憶がないんですねぇ。
数年前にここからロバの耳に登りましたが、通行禁止でも結構入ってますね。
あの、取り付きを何とかすればいいコースになるかな。
でも、今のままのほうがまたいいですかな。
温泉付近にマムシがいるとかですが…いるのかな。
懐かしいアルバムを見せていただきましたなぁ。
スズ7
2009/06/14 20:15
スズ7さん今晩は。
あの少しだけ晴れ渡った時間に不忘山にいらしたのですね。
そう、昔の雪上訓練の場所は丸山沢と相場が決まっていましたね(笑)
ロバの耳の取り付きのガレた急斜面、以前は道型がはっきりしていましたが、何時頃から崩落が始ってきたのかな? そっちの記憶の方が曖昧です。
しかし通行禁止の本当の理由は貴重な高山植物の保護のため?と噂で聞いた事がありますよ。
家の何処かにロバの耳を背景にした白雲荘のカラー写真があるはずなのですが、いくら探しても見つかりませんでした。
SONE
2009/06/14 21:44
モノクロ写真も良いねえ、昭和だねえ〜
温泉そのものが流れてきてなかったから、ビニールシート敷いても
入れないよね(今年は狙っていたのだが)残念!
でもブヨの大群では顔に防虫ネットかぶっての露天風呂だな。
タッシー
2009/06/15 09:58
タッシー今晩は。
ずっと昔、モノクロ写真に凝った時期があったけど、たまに見ると新鮮に感じるね。
実はアノ噴気孔のそばに野湯があるんだけど、来年はスコップ持参して湯殿を作って入りたいね。流しソーメンなんてやるのもいいんじゃない(笑)
SONE
2009/06/15 17:56
わ〜なつかしいなぁ かもしか温泉 

一度だけ泊まりました 37年前の11月初旬に

関沢から雁戸山越えて いい宿で 楽しい一夜を過ごしました

貴重な白黒写真です
なんど
URL
2009/06/16 06:56
なんどさんこんにちは。
かもしか温泉、宿泊されたのですか! 羨ましい! 
私は2回入浴しただけでした。泊ってみたかったなぁ〜。
ところで当時の白雲山荘の写真、お持ちじゃないですか。 
持っておられたら是非拝見したいものです(笑い)
SONE
2009/06/16 12:06
かもしか温泉私も懐かしいです。
高校登山で泊まりました。
1日目は刈田岳から自然園を通ってかもしか温泉まで。
慣れない山歩きに温泉うれしかったなあ。
日曜日にあそこの駐車場通ったらなにかあるの?ってくらい車が停まっていました。
もしかしたらSONEさんたちもいるかなあと思って帰りも車チェックしましたが土曜日だったんですね。
ebiyan
2009/06/16 18:32
ebiyanさん今晩は。
う〜〜ん...ebiyanさんも宿泊された経験がおありで。
これまた羨ましいーーーの一言です(笑)
しかしながら高校登山としては、結構ハードなルートを設定していましたね(驚)
今回の日曜日は父親の入院の付き添いで、まったく動ける状態ではなかったのですよ。
SONE
2009/06/16 18:43
みなさん結構泊まったことがあるんだねえ。
スコップ持参で野湯に入り、わき水で流しソーメン!
かもしか跡でキャンプやろー!!

タッシー
2009/06/17 10:06
タッシーこんにちは。
あの場所、夏場は薮の繁茂が凄まじいし、
蚊&虻などの害虫がワンサカ出てくるので、キャンプは一寸難しいかも・・・
実施するとしたら秋か、来年の6月がベストだね。
SONE
2009/06/17 12:22
懐かしい温泉です。以前蔵王の不忘山から蔵王岳において全日本登山大会というものが開催されました。そのときかもしか温泉が宿泊所になりました。雪崩で倒壊した温泉小屋を再建して宿泊しました。湯船にたくさんの泥が有ったすばらしい温泉を思い出します。その後すぐに雪崩で倒壊し再建が出来ないと聞き残念に思っていました。不忘山の残雪とかもしか温泉までの道筋の山うどの立派なことの思い出があります
ヤマエツ
2009/07/12 20:12
ヤマエツさん初めまして。ご訪問&コメント有難うございます。
かもしか温泉に宿泊なされたとは、素晴らしい思い出をお持ちですね。
私は地元ゆえにお風呂には入りましたが、泊った経験がないままに終わってしまいました。
あの場所は雪崩の多発地帯なので再建は不可能と思いますが、現在でも残っていたら全国有数の秘湯となっていた事でしょうね。
SONE
2009/07/12 22:21

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