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zoom RSS 『恵みの山 鳥海山』

<<   作成日時 : 2009/12/14 10:30   >>

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朝になっても氷雨が降り続く土曜日。山に出かける気もせず家で沈殿。
こんな時は山の本を読むのが一番なので、最近購入した『恵みの山 鳥海山』を一気に読破してしまった(笑)

『恵みの山 鳥海山』
著者:粕谷 昭二   発行:東北出版企画   定価:1995円(税込み)

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最近映画で富に脚光を浴びているのが山形県庄内地方である。
「米アカデミー賞外国語映画賞」を受賞した『おくりびと』を始め、『たそがれ清兵衛』、『蝉しぐれ』などの藤沢周平原作の映画の背景にかかせない景色として、常に鳥海山と月山の名峰があった。

個人的にも東北でトップクラスの山と位置付けている鳥海山は、何回登っても新しい発見がある山である。
特に残雪期の山スキー、全山がお花畑と言っても過言ではない夏山、秋の千畳ヶ原の草紅葉は、東北のパタゴニアとあだ名される様に何処にもない素晴らしい景観を見せてくれる。

庄内在住の山仲間たちが、「おらいの山」と親しみをこめて読んでいるのも当然であろう。
それ程、日々の生活の中で何時も存在感を主張している大きな山なのだ。

さて、最低でも年1回は登り、馴染みの山として大好きな鳥海山であるが、今回『恵みの山 鳥海山』を読んでみて知らない事が沢山あったことに驚いた。

その一つが県境問題。地形図を見て何時も不思議に思っていたのだが、鳥海山の山頂部は完全に山形県に帰属し、秋田県の県境は遥か下(七合目)に直線的に設定されている。何故だ???
その疑問を明らかにしてくれた本書は、私にとってそれだけでも価値ある一冊だった。

________________________________________________

『恵みの山 鳥海山』は「庄内日報」に平成20年4月から毎週計33回に渡って掲載されたものを、新たに加筆・修正して一冊の本に編まれたものである。
著者の粕谷氏は現在「庄内日報」の論説委員としてご活躍の方だが、かつて毎日新聞社の記者として酒田に勤務し、日々眺める鳥海山の勇姿に魅せられ、各種資料を収集されて今回の本が出来上がったのである。

内容は ●山岳信仰と鳥海修験 ●鳥海山の成り立ちと名前の由来 ●湧水の里 
●山里の生活と伝統芸能 ●豊かな大自然 登山と観光の山 ●文学に描かれた鳥海山
の6編が中心となっていて、それぞれを詳しく説明している。

個人的には今も山裾に住む人々の信仰の対象となっている鳥海修験の項と、名前の由来、そして大自然の紹介が面白く、かつ参考になった。
昭和51年に行われた100名参加のヘリコプター利用:マンモスツアー滑降や、種まき爺さんの雪形、山頂だけでなく大平・御浜などを含んだ地域の番地が山形県遊佐町吹浦字鳥海山一番地の一筆で含まれている事など、初めて知った記述も多く、また昭和49年3月1日に起きた新山のマグマ水蒸気爆発の様子を著者自身がヘリに同乗して撮影した航空写真は秀逸なものであった。

鳥海山に関する文献は各々の専門分野においては多く存在している。しかしそれらを全て紐解いて読むとなると一個人としては多大な時間と労力を必要とするであろう。
『恵みの山 鳥海山』は内容が広く浅い、少し総花的な感は否めないが、鳥海山の全てを簡単に知る上では非常に価値のある一冊と言えよう。

鳥海山に登る際に景色や花、山滑りだけに興ずるのも楽しいものだが、山の歴史や山麓の民俗などを判った上で登ると、何時も登っている山も違う風景に見えるかもしれない。その意味では登山者に是非読んで欲しい一冊である。

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コメント(10件)

内 容 ニックネーム/日時
県境の話、そのうち聞かせてちょうだいね。
タッシー
URL
2009/12/14 10:59
10年も前になりますか、薊坂下で若い禰宜さんと一緒になった際に7合目より上は神社の土地で一筆だという事を教えて貰ったことがあります。県境のたんこぶの謎がはれて目から鱗でした。御室小屋のぬる〜いビールをお礼に購入したのを思い出しました。
みいら
2009/12/14 16:08
タッシー今晩は。
鳥海山の県境問題は江戸時代お話で奥が深いですよ。今度会った時話すね。
SONE
2009/12/14 19:14
SONEさん、こんばんは。
私も県境の引かれ方には最初驚きました。
延喜式の頃に一ノ宮が置かれた歴史かなと思うくらいの知識しかありません。
あと遊佐町と旧八幡町の境も凄いですよね。
鳥海山から流れる水の権利を遊佐町が独占していたような。
地図を見てるだけでも楽しいです。
あね
2009/12/14 19:17
みいらさん今晩は。
へぇ〜、それはそれは参考になる事を聞かせていただきましたね。
伊勢神宮と関係が深い山なので、専門書で歴史を紐解いたら面白そうですね。
私も県境の謎は本当に不思議でしたよ。あの直線的に引かれた理由が全く不明。飯豊より分かり難い。
ぬる〜いビールを購入して謎が解けたなら安いものでしたね(笑)
SONE
2009/12/14 19:23
あねさん今晩は。
普通の県境は分水尾根で引かれるものですが、大物忌神社の帰属が絡んであんな可笑しな県境になってしまったのですね。その謎や鳥海山に纏わる色々な事が全て網羅された今回の本は特に地元の方必読ですね。鳥海山にとっては人間の境界の線引きなど関係ない事でしょうが、厳冬期に登れない憂さを地図を見て楽しむのも一興と思いました。
SONE
2009/12/14 19:29
そう、複雑な県境も行政を惑わしているという。
救助要請が出ても大半が山形側、要請は鉾立の秋田仁賀保にくるらしい。
担当者が困っていましたな。
あらら、稲倉岳も山形だったのね。
それにしても、廃藩置県の時に遡りますかな。
官軍についた秋田側の線引きがイマイチですなぁ。
マロ7
2009/12/14 21:36
マロ7さん今晩は。
あっそうか! 登山者が遭難した時、特に鉾立や矢島口から登った場合の救助がどちらの管轄になるか難しい問題ですね。これは明らかに担当者泣かせですよ(苦笑)
スノーモービル問題についても両県の見解に温度差がある。統一した基準が必要な時期にきていますね。
この県境問題は江戸幕府が仲裁したのですよ。秋田側が不利な裁定をされたのは矢島が1万石の小大名だったからと言われています。
SONE
2009/12/14 22:06
 SONEさん、おはようございます。

 早速お読みになったんですね。地元の私はまだです。
というか、少し立ち読みはしたんですが、値段を見て棚に
戻してしまいました。(^^;;

 山形県境縦走をしていた時は鳥海山付近の踏破をどうしようかと
頭を悩まされました。あのとおりの直線ですからね。
分水嶺を歩くのと違って完璧にトレースするのは不可能なので、
結局のところ、「適当に…」という形になってしまいました。
ファーマー佐藤
URL
2009/12/25 09:30
ファーマー佐藤さん今晩は。ご訪問&コメント有難うございます。
鳥海山ネタ満載の本でしたので、値段を気にしないで購入してしまいました(笑)
山に纏わる麓の民の生活なども記載されていて、鳥海山へのアプローチも楽しくなりそうな感じです。

そうですねぇ〜、山形県境縦走を志す方々にとっては、あの地図上の県境を忠実に辿るなんて不可能な話ですよね(笑) 七高山の西壁突破なんて無理無理・・・
でもそんな困難を克服して県境縦走やられた事は敬服いたします。
SONE
2009/12/25 17:08

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