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zoom RSS 2010.2.28 大鏑山(宮城・虎毛山地)

<<   作成日時 : 2010/02/28 22:59   >>

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大鏑山(おおかぶらやま)は神室連峰と虎毛山の間に挟まれた寂峰である。
標高は1120mと低く、夏道も存在しないので登山者からは見向きもされない存在であるが、宮城・山形県境に聳える脊梁の分水嶺であり、宮城県内では一番奥深く、原始性が強い山とも言える。

【 2/28 大鏑山(1120m) 宮城・虎毛山地 】
仙秋鬼首トンネル南口夫婦滝橋〜宮城・秋田県境上の送電線鉄塔〜864m峰〜954m峰〜鉄砲平〜宮城・山形県境〜1009m峰〜1074m峰〜大鏑山〜大鏑山北側の沢〜鉄砲平〜954m峰〜864m峰〜仙秋鬼首トンネル南口建物脇


大鏑山は以前から狙っていた山である。
1/25000図の鬼首峠を見て、その登路を探っていたが、最上町方面からはアプローチに問題があり、東股沢上流部は針葉樹の植林地の様で登る気がしないでいた。県境尾根を辿るのは禿岳、軍沢岳のどちらから向かっても山中一泊は必要な距離があり、単独行では車の回収の問題も発生する。
そんな時「山の本(44号)」に最上山岳会の坂本さんが、軍沢川源流にある黒滝の更に上部のブナ林を突っ切るオリジナリティに溢れるルート取りで大鏑山に登頂した記録を掲載していた。
「う〜ん、これしかないな。」とその時は思ったが、山スキーを使うと滑れるところが少ないので、どうも億劫になっていたのも事実である。でもたまには歩き中心の山スキーもいいかな、と重い腰を上げて出かけてみた。


南岸低気圧が通過している時の秋田の山は晴れる。と言うSONE独自の予報も正しくはなかった。
朝6時30分に鬼首トンネル南口手前にある駐車場に着くが、周辺の山々は完全にガスっていた。
入山の準備をしながら様子を見ていると、少しずつガスが飛んでいくので午前7時に出発する。
夫婦滝橋の北側の欄干を乗り越えると、先に雪原が広がっているので上手くフェンスを迂回できた。
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通常のコース取りは尾根上を忠実に辿り送電線鉄塔にでるが、その場合は遠回りになるので、適当に西側の沢を渡って中間の小尾根を登っていった。片倉森がその存在を主張している如く、平な尾根筋から一気に出っ張っている。
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最初は近道だと気をよくしていた小尾根の登りは、最終的に雪庇に登路を阻まれてしまう。
仕方なくスキーを担いで、雪壁に深いキックステップを刻んでじわじわ登った。登りついたところは秋田・宮城県境である。
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そこから見た禿岳の双耳峰。
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目指す大鏑山(右奥)はまだまだ遠い。
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今回のルートはブナの森の逍遥コースと言える。何処までも続くブナの森は霧氷が美しかった。
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954m峰まで登ると西側の展望が開ける。神室連峰の小又山と天狗森が真っ白に見えて驚いた。
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軍沢川の対岸にある大鏑山は、直線距離だと近い。でもここから大迂回しなければならないのだ。
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おおっ、北側には高松岳(右)と山伏岳の姿が見えてきた。
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虎毛山はこの位置からだと本当に近い。冬場に県境の鉄塔からなら楽に往復できそうである。
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秋田・宮城県境を離れて、黒滝の上流部に広がる広大なブナの森(鉄砲平)に入っていく。
南北3km、東西1kmの範囲に広がるブナの原生林は、宮城県では最大の広がりを持つブナ林かもしれない。
但し平ではなく、小さな沢が幾筋にもある傾斜したブナの森であった。立ち枯れにはドライムキタケが至る所にあった。
ここはキノコの宝庫なのであろうが、安易に入山したら間違いなく迷いそうな地形である。
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最初は小沢を乗り越えながら大鏑山に近づいていこうと考えていたが、それは甘い考えだった事に気がついた。
今年の寡雪状態では小沢が埋まりきらず、どこも急傾斜の大きなギャップとなっていて簡単に通過できない。
おまけにクラストした雪質なので、斜登高する時に一歩一歩足場を切らないと滑落する恐れが多分にあった。
そこで予定を変更し、一気に山形・宮城県境尾根に登り、県境尾根を忠実に辿って大鏑山に登る事にした。
しかし県境尾根もアップダウンと雪庇が多く、簡単に通過できた訳ではない。
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それでも歩いていると山頂は近づいてくるものだ。ポコポコした小山を越えてきた、その奥には軍沢岳が聳えている。
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1074mの大鏑山西峰に乗り上げた頃から小雪が舞いはじめる。禿岳も次第に見えなくなっていった。
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久恋の大鏑山山頂は矮生ブナに囲まれた白い丘であった。雪が降ってきて展望はない。
西側にブナ林に逃げ込んでカップ麺とおにぎりの簡単な食事を取った。風も強くなく寒さを感じない。

約20分の休憩の後に滑り出したら、雪が止み展望が開けてきた。
小又山から天狗森にかけての稜線が素晴らしい迫力で見える。
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火打岳など神室連峰南部の山々も見えた。
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神室山は樹林が山して、その全容を見られる場所は無かった。
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帰路は多少滑りたいので、大鏑山北峰を経由して北側の沢筋まで高差250mのツリーランを楽しむ。
上部の雪堤はクラスト+流水溝でガタガタの状態で快適ではない。
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しかしブナのツリーランは溝が少ないフラットなカリカリバーンのため、意外に快適に滑れた。
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でも滑り降りたのはいいが、鉄砲平のアップダウンには参ってしまった。急斜面が多くクラストしているため、シール歩行は難しく、斜め階段登高で足場を切りながら登る事が多かった。滑落には細心の注意が必要であったが、スキーアイゼンを持参しなかったのは失敗である。

鉄砲平を抜け出して954m峰に戻る。ここでデコポンを食べて、コーヒーを飲んで落ち着いた。
また神室連峰は雲の中に隠れてしまった。目まぐるしく天候が変る一日である。

864m峰からは登ってきたのと別ルートで下る事にした、直接トンネル脇の建物に滑り降りた方が登り返しがない。
狭い尾根であったが、この頃にはクラストバーン滑降にも慣れてきてガンガン飛ばして滑り降りた。
短時間で鬼首道路が見える位置まで滑り降りてしまった。やはりスキーは早く安全である。
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最後はブロック雪崩が起きそうな急斜面を強引に滑って建物脇へ。夫婦滝橋をトボトボ歩いて駐車場に戻った。
山スキーを利用した登山という感じの山だったが、山スキーの機動力がなければ出来ない行程であったとも言える。
車に戻ったのは午後1時20分であった。

尚、参考までに地図に歩いたルートを記入してみた。赤が登り、青が下りである。
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驚いた

コメント(16件)

内 容 ニックネーム/日時
ホントに凄いことしていますね
カリカリバーンを快適に滑った記述
素晴らしい足前で うらやましい
nando
2010/03/01 07:05
トンネル入り口から入る山だったのですね。何かで読んだことがあるような。
軍沢だけは名前が知っていましたが、大鏑山ってあれぇ、どこだっけって。
まさに神室連峰と虎毛山の間に挟まれた寂峰でもあるし、聖域でしょうね。
またもや、いぶし銀のお山でしたね。
マロ7
2010/03/01 07:12
軍沢いつか行ってみたいですね。
大鏑山、限られたエリートだけが踏める山のようですね。記事をみてなぜか新庄神室連峰に行きたくなりました。
87ワ
2010/03/01 08:44
標高じゃわからない深い感じがするねえ。
ドライムッキーのあたり、迷いそうな尾根…でも
ありそうだな(笑)
タッシー
URL
2010/03/01 16:27
nandoさん今晩は。
宮城・秋田県境の山々の奥深さに魅了された山旅でした。
山スキーの場合はクラストバーンは意外に快適なんですよ。テレとの一番の違いでしょうかね。
SONE
2010/03/01 18:26
マロ7さん今晩は。
ここ最近は誰も入山した形跡がない山でしたよ。
雪解けが進むと古いシュプール跡やカンジキ跡が出てくるのですが一切ありませんでした。
赤布の類も無いので、登るとなると山の総合力が試される山かもしれませんね。
確かにいぶし銀の山ですが、今回の記事を見て登りたいと思う方は少ないと思います。
SONE
2010/03/01 18:30
87ワさん今晩は。
大鏑山は滑りの要素が少ない山ですが、軍沢岳は山滑り派にはお勧めの山ですよ。
限られたエリートの山と言うより、スノーシュー&カンジキでは時間的に往復はしんどいでしょうね。
従って山スキー利用となりますが、大半が歩きの行程なので行く人は限られてくると思います。
神室連峰の山滑り、行きたいですねぇ〜。恐らく誰にも会わない雪山が楽しめるでしょうね。
SONE
2010/03/01 18:36
タッシー今晩は。
この山域の奥深さは宮城県No,1だろうね。
やはりキノコの表記が気になるだろうけど、笹薮が酷そうな感じだったよ。
下手に突入したら完全に迷う恐れがあるブナの森だね。
SONE
2010/03/01 18:40
めったに人が入らない激シブの山ですね。
地図を見ながらワクワク、ドキドキでしたよ。
鉄砲平は少しは楽しめそうですが、軍沢川の両岸はさぞやスゴイ落ち込みなんでしょうね。オー怖。
morino
2010/03/01 22:49
morinoさんこんにちは。
知っている人も少ない山なので、1年に1パーティ程度しか登らない山かもしれませんよ。
山スキーを利用しないと日帰り登山は無理な山ですが、鉄砲平までなら往復可能ですよ。
軍沢川の源流域しか近づいていませんが、危険度の点では怖いところは少ない山でした。
SONE
2010/03/02 15:28
いいですねえーー。
シブイだけではこの山の良さは語られんでしょうね。
神室連峰の眺めが一番のごっつおうなようで。
いいですねえーー。
スキーの腕前も羨ましい。
「大鏑山」というネーミングにもなんとなく微笑んでしまいますね。
禿岳のことを「小鏑山」というのをごぞんじでした?
池田昭二さんのエアリアマップに載ってました。
鯛金
2010/03/04 16:02
鯛金さん今晩は。
この山、いいでしょう(笑) とにかく奥深いの一言で語れる山だったですよ。
神室を東側から眺めるのには最適なピークでした。
スキーはアルペンなのでアイスバーンは難しくないですよ。
そうですね、禿岳のことを「小鏑山」と呼びますよね。
この周辺の山は「カムロとカブラ」の名称が混在した興味ある山塊ですね。
SONE
2010/03/04 20:39
soneさん、こんばんは
天気が悪くてなかなか山にでかけられませんが、そんなときに、soneさんはわが地元の大鏑山を歩いておられたんですね←驚 軍沢の記事も合わせて読み、いつか自分も行ければなあと思っていました。山スキーはしないので大鏑は無理ですが、軍沢岳にはいきたいものです。神室や虎毛、高松などを眺めてみたいですね〜soneさんが軍沢に行かれたのは4月初めだったようですが、大鏑の雪の様子を合わせると、今年は雪をつなげていくとして、いつ頃が限度だと思われますか。よろしければアドバイスをお願いします。
 船形の遭難ですが、まだ情報は少ないけれど、地図とコンパスだけの登山でガスに巻かれたら・・・soneさんの冬の船形の記録を読んで、蛇が岳から滑降されていた記事を思いだしておりました。それにしても後白髪への稜線におられたというのもよくわからないところです。携帯がなかったら、危なかったですね^^;
k4
2010/03/04 21:09
K4さん今晩は。
K4さんは大鏑山が地元の山ですか。そうすると○○温泉辺りでしょうかね。
そう言えば軍沢岳は岳人3月号にガイドが載っていましたね。以前登った時には赤布のマーキングもあって迷う心配のないコースでしたよ。
今年は雪が少なく、雪解けの早いので全て雪を繋いで登るとなると3月中が限界かもしれません。
でも棒尾根ですので、下部に雪が無くても多少の薮漕ぎを苦にしなければ、4月初旬までは登れると思います。4月中旬ならイワウチワも咲いているでしょうね。でも山頂で薮が出るかも?
船形の遭難は固唾を呑んでニュースを見ていましたが、助かって本当に良かったと思います。
でも地図とコンパスを読んで行動できる登山者だったら、後白髪方面の稜線には入らないですね。
完全に数mしか見えないホワイトアウト状態でもなかった様ですので、完全に道をロストした挙句の遭難だったと思います。地図読みが出来ない方が冬山に入っては駄目ですが、GPSを持っていれば遭難しなかったでしょうね。でも雪洞に潜って救助を待った点は評価できると思います。
SONE
2010/03/04 21:40
古い記録に失礼します。
昨日ようやく行ってきました。soneさんの記録、参考にさせていただきました。
ありがとうございます。大変でしたが、素晴らしい山ですね。
kiyoshi
2013/03/18 22:57
kiyoshiさん今晩は。
お天気に恵まれ神室連峰の大観を独り占めできた山行だったでしょうね。
ブナの原生林が素晴らしいルートですね。
SONE
2013/03/18 23:17

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