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zoom RSS 2011.5.15 番城山(山形・蔵王連峰)

<<   作成日時 : 2011/05/17 18:18   >>

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蔵王連峰の南西部の宮城・山形県境には舟引山、二ツ森、番城山などの不遇の山が連なっている。
大半の山に登山道は無く、山稜にはネマガリダケの密薮が待ちかまえて無雪期に登るのは難しい。
しかし唯一番城山には不確かな登山道が存在している。今回は10年以上前に辿った参拝道を辿ってみた。

【 5╱15 番城山(1323m) 山形・蔵王連峰 】
不平林道支線ゲート〜林道終点〜沢の二股〜三本ブナ〜尾根〜沢源頭部〜山頂北側の窪〜番城山〜山頂北側の窪〜沢源頭部〜尾根〜杉植林地〜林道〜沢渡渉地点〜古屋敷〜大門〜不平林道支線ゲート
(注)登りに使った参拝ルートは廃道化して、道がほとんど消失しています。足場の悪い急斜面ヘツリの連続で危険なので絶対に立ちいらない事。

以前、残雪期に山仲間と番城山へ萱平から県境まで伸びる林道を辿って登った事がある。
その時は手前の1120m峰で猛烈なネマガリタケの密薮と格闘し、山頂は諦めて引き返そうとまで思った。
しかし上山市大門から山懐まで伸びる林道〜参拝道経由で山仲間のKさんが山頂に達しており、携帯電話で確認すると我々が山頂に到着するまで寝て待っていてくれるとの事。
これで帰路は薮のない参拝道を下れる目途がついたため、山頂の東側にある沢の残雪を拾って山頂まで登れたのである。
ここで言う参拝道とは番城山山頂に祀ってある古峰神社への参拝ルートを指し、大門地区の方々が年に一回参拝に訪れているらしかった。このルートが公になっていなかったのは、そのルートが地元の方々の入会林を通り、山菜やキノコの止め山となっている理由からであった。
だがこの時に下ってみた感想は決して楽な山道ではなく、かなり足場の悪いトラバースが連続する難しい道との印象を持った。下手に歩行技術のない登山者が入山したら沢への滑落は避けられない危険な道だったのである。

上山市大門地区の集落を抜けて不平林道に入る。林道の入口付近から目指す番城山が望まれた。
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目的の直進する林道支線には『路肩危険』の看板とともに、簡易的に引っかけられたロープで進入禁止になっていた。
以前Kさんの車で下ってきたときには、そのロープを一時外して通過したので、今回もロープを外して進入しようとしていると、近くで作業していた地元の方が『この林道は危ないので進入禁止だ! それに止め山で地元民以外は車の乗り入れは駄目!』と注意された。登山目的で山菜を採るつもりはないと話しても『駄目!』の一点張りなので、『車が危険で進入できないのなら、ここから歩くのはどうですか?』と言うと、『それなら問題ない。』と言う。
下手に地元の方とトラブルを起こしてもしょうがないので、近くの広い路肩に車を止めて歩きだした。

少し歩くと南東側に二ツ森の姿が見える。
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谷の奥に番城山の西側県境付近の稜線が見えているが、この位置からだとかなりな距離を歩かねばならない。
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林道は杉の植林地が多く、タチツボスミレやキバナイカリソウ、そしてミヤマキケマンなどが少しだけ咲いていた。
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途中にあった橋の部分が地震の影響によるものか? 橋げたがずれていて車両の通行止めになっていた。
しかし前回訪れた時にも思ったが、この山にある山菜はタラノメとコゴミ主体で、豪雪地帯の山と比較して山菜の種類&量は少ない。今回は採る気は全くないので、あまり山菜の存在をチェックすることもなく林道を歩いた。

林道ゲートから3.3km歩いてやっと林道の終点に達する。
ここで少し傾いた木製の橋を渡るが、これが意外に怖かった(苦笑)
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山道(参拝道)に入ると以前と違ってかなり薮が繁茂しているなと感じた。
右斜面が崩落している地点から先で道が完全に消失。
杉林に入ると、杉の倒木が至る所にあり、所々に残る僅かな踏み跡も辿れなくなってくる。

途中でGPSと地形図を取り出してルートの検討。沢の二俣付近を通過した記憶があったため、少し来たところを戻り、沢筋まで降りてみた。そこには沢に沿って赤いテープが伸びている。
少し沢を遡行して見るが、雪解けで水量が多く無理と判断。左の急斜面を無理やり登って、先ほど引き返した地点に出た。ここでGPSを省エネモードにするため電源ボタンを軽く押したら、間違って電源オフにしてしまったらしい。
この地点から上部のブナの二次林まで電源オフに気がつかず、トラックログは取れていない。

道が存在しそうな場所を右往左往しながら奥へ歩いていると、獣道とも踏み跡とも採れそうな不確かな道に出る。
途中でドラゴンの姿に似ている根っこを見つけて思わず見入ってしまった。
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不確かな道は手がかりのない草付きの急斜面で消失。谷足となる右足を常に強く踏みしめながら、危うい急斜面の斜上トラバースが延々続く。間違って滑落したら遥か下に見える谷底まで一気に転げ落ちてしまうであろう。
こういう状況には慣れているが、それでも常に慎重な行動が求められるので気が休まらない。

暫くトラバースを続けていたが、またまた沢に近づいてしまった。以前の記憶では中間部はかなり高い地点を通過した覚えがあり、沢が近くに見える事はあり得ない。
そこで意を決して、左手の岩場混じりのヒノキアスナロが繁茂した崖を木登り的に登攀し始める。
ここでザックのサイドに付けていたカメラの三脚のクイックシュー部分を引っかけて壊してしまう。

腕力もフル活用して高差100m以上の登攀が終わると、やっと斜面の傾斜が緩くなってブナの森に出た。
ここで本来の参拝道らしき踏み跡に乗る。僅かにビニールテープがあったので獣道ではない。
やっと楽に歩ける、と思っていたら平坦なブナ林でまたまた道が完全消失。
もう道形を探すのは諦めて勝手に薮を漕いでブナ林を登って行く。淡い新緑が美しい。
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途中で右手に三本だけ残るブナの巨木を見つけた。
周辺は明らかにブナの二次林であるが、この三本のブナの巨木だけ伐採を免れて残されたのであろう。
しかし顔の纏わりつく大量のブユには閉口してしまった。この時期のブユは刺さないが、一度の喉に吸いこんでしまって咳が止まらなくなった。

左手の尾根を目指して薮が薄いところを登って行く。尾根に出ると木肌に赤いペンキマークが続き、新しい赤テープが要所要所に付けられていた。
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途中で尾根を離れて左手の沢の源頭を登る。雪渓が延々と上部へ続いて歩き易い。
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雪渓で降りてくる単独の登山者とスライドする。ここで立ち話をして情報交換。
彼は大門にお住まいの方で、今月18日に地元の小学校の子供たちが番城山に学校登山をするので下見にいらしたとか。学校登山のルートは古屋敷から林道に入り、林道終点から一般登山者なら2時間30分で山頂に登れると言っていた。
私に『何処から登ってきたの?』と聞くので、『大門から参拝ルートを登ってきましたよ。』と答えると、『あの参拝道は10年ほど前までは年に一回地元の有志が山頂の古峰神社に参拝に通っていた道だが、5〜6年前からその風習は途絶えて今は完全に道が無くなっているよ。地元の我々でも正確に道を辿るのは不可能で、あっちから登るなら渇水期に沢を遡行した方が楽だねぇ。しかしここまで登ってきたなんて余程のベテランだな。』と言っていた。

『ところで林道のゲート前で地元の方に車の進入禁止と言われましたが?』と聞いてみると、『別に地元民以外でも入って問題ないんだがなぁー。誰がそんな事言ったんだろう?』と笑っていた。

近年、番城山まで古屋敷から登山ルートが開削されたのは知っていたが、大伐採後の杉の植林地を登る気が起きなかったのである。しかし道が消失した参拝ルートを帰るのは余りにも危険なので、帰りは赤ペンキでマーキングされている古屋敷ルートを下って、そこから車道を大門の駐車地点まで戻る事にした。

雪渓の上部は視界が開けて瀧山が見える。
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北側には残雪が残り、山頂直下まで続いていた。
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最後はネマガリダケが繁茂した踏み跡を辿ると古峰神社がある山頂に到着。
屋根だけの小屋には学校登山の名簿が書かれた板が何枚も打ちつけられていた。
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今は参拝する風習が途絶えた古峰神社。
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積雪期には白い小高い丘になる展望の良い山頂も、雪が消えた現在は周囲は笹に覆われて立ち上がらないと展望は一切望めない。
展望を求めて北東側の下に残る残雪まで降りてみた。熊野岳と刈田岳が良く見える。
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西側から見る南蔵王はメリハリの無い平坦な山の連なりに見える。
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この残雪の上で昼食。喉が渇いたのでノンアルコールビールが旨い。
風が結構強いがお陰でブユが逃げて行って助かる。カップ麺とおにぎりを食べてやっと落ち着いた。

ここで番城山の山名の由来について少し述べたい。
【蔵王〜自然と人間〜 :東北大学山の会編(1975年発行)】に詳しく記載しているので引用する。
『番城山は、古くはバン上ヵ峰ないしバン上平山であった。しかし、この山名をさらにたどると、もっと別の山名であったことは知られてくるのである。
本来の山名はイワガミ山で磐神山と書くべき山と考えられ、それが磐上山と書かれ、音読されてバンジョウ山となり、「際境絵図」などに記されたものと推定される。(中略) 番城山がイワガミに由来するとすれば、この山には二口の磐司山の見られる大岩壁と同じ意味の、何か磐(イワ)に因む地形物が存在しなければならないことになる。しかし、番城山そのものはいわゆる薮山で、そのようなものは見当たらないのである。
ところが、七ヶ宿街道の峠田の東方、渓谷沿いのところに磐神という地名があることに気付く。この磐神のことは、「聞老誌」の中にも磐神峰(イワガミヤマ)として、「神原の二氏にあり山頭に巨石多し、相並びて神仙の像の如し。」と記載されている。
この磐神山はいわゆる小峰であるが、ちょうどその背後に続く大山は、かの番城山にあたっているのである。
つまりここには、かつての小山の山名でしかなかった磐神山という山名が、それをゆうする大山へと移行し、いつしか磐神山から磐上山となりバン上山と呼称されて、番城山と当て字されることになったものと推定される。』


残雪から山頂に戻って南東側の景色を眺める。フスベ山が同定された。
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七ヶ宿ダムの一部と峠田岳も望めるが、空が霞んできてそれ以上の展望は見えなかった。
さてここから古屋敷経由の長い下山が始まる。

雪渓の下りは早く、短時間で尾根まで戻った。尾根から番城山を振り返る。
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尾根の途中で少し登りかえりがあった地点で右足の太ももが痙攣してしまう。
今日はとことん右足ばかり酷使してきたつけが出てしまった。
地面に座ってマッサージすると直ぐに回復。それ以上に右足の足裏に出来た大きなマメが痛いのでそっちの方が歩いていてキツイ。

尾根上を北に下って行くと、道は急に右折して急な支尾根を下る様になる。
途中で左手に若い杉の植林地が見えたところで左折。ここから杉植林地につけられた古いブル道の下りとなる。
その上部は北側の展望が開けて、古屋敷に下る沢筋のルートが俯瞰できた。
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しかし現在唯一ある番城山の夏道と言っても、杉の植林が伸びて、しかもブル道は急速に薮化が進んでおり、決して迷わず楽に登れる道とは思えない状況となっている。
枝や草刈りをしないで放置したばあい、後数年で歩けなくなる可能性が高い道と思われた。

ブル道が荒れた林道に変わると、一人の山菜採りの男性とスライドした。ここで再び情報交換。
この方も地元大門にお住まいで、例の林道のゲートは地元民以外でも入って問題ないのでは? と言っていた。
昨年秋にキノコ採りを兼ねて参拝道を登ったが、完全に道が無くなっているので引き返したらしい。
以前は東側の二ツ森にも防火帯の切り開きの道があり登れたとか。
しかし当の男性は昨年6月に二ツ森を目指して道を失い遭難騒ぎを起こしたとか…

林道が小沢の脇を下る様になると沢の渡渉点は近い。雪解け水の今は登山靴では濡れてしまう水深であった。
この地点から古屋敷までは1.6km。まだ暫くかかる。

いい加減に靴ずれでマメができた足で歩くのが嫌になる頃、萱ぶき屋根の民家群が残された古屋敷の外れに着く。
しかし一切屋根を手入れしたいない古屋敷の民家は荒れ放題となっていた。
ほとんど全ての萱ぶき屋根がブルーシートに覆われていて酷い状態。

古屋敷から大門までは3.5kmの舗装道路の歩きとなる。
ちょうど田植え作業の盛りで、5月の爽やかな風に吹かれながらのんびり歩いた。
途中で振り返った番城山は優しげな山容をしていた。
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トラックログです。 (一部GPS電源が切れて手書き部分があり)
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動画です。




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コメント(8件)

内 容 ニックネーム/日時
それにしても、ロングルートになりましたね。
止め山って、地元民以外は車の乗り入れは駄目なんですか。_(._.)_
磐神山→磐上山→番城山に納得です。
18日は小学校登山できますかな。
マロ7
2011/05/18 06:48
マロ7さんおはようございます。
全行程の半分以上、約8kmが車道歩きですから変な登山となってしまいました。
止め山は基本的には山の幸を採取禁止って意味ですよ。途中でスライドした地元の方二人が車の乗り入れは問題ないと言っていましたが、人によって考え方が違うみたいですね。
但し無理やり突っ込んで車の事故を起こした場合は非難されるでしょうね。
今日はいい天気なので、小学校の登山日和となりましたね。
SONE
2011/05/18 07:15
いつもながら人の歩かないところを行くSONEさん流登山でしたね。
それにしても小学校の登山にしては大変なコースのように思われますが、地元っ子だから大丈夫かな。
「蔵王〜自然と人間〜:東北大学山の会編」は面白そうな本ですね。機会があれば読んでみたいものです。
morino
2011/05/18 12:46
morinoさん今晩は。
今回は誰も誘わずに単独で行って正解でした。
参拝道に関係なく、尾根を忠実に薮漕ぎした方が安全&早く山頂に達したと思っています。
雪渓の最後はかなりな急斜面でしたので、子供達の滑落防止のためには、深いステップを切れねばならないでしょうね。ロープを設置するかもしれませんが・・・
「蔵王〜自然と人間〜:東北大学山の会編」は古書店を探すと見つかると思います。
蔵王のいろいろな分野の事を書いた面白い本ですよ。
SONE
2011/05/18 17:43
はじめまして
山形市内在住の53歳男性です。楽しく読ませてもらいました。
今年2月に萱平から県境稜線をたどり番城山に初めて上りました。勿論、雪のため小屋や神社は見つけられず、自分が立っているところが一番高っかたので勝手に納得しています。また、4月には萱平から二つ森山経由で舟引山まで周回をしました。山形からもっと蔵王連峰や周辺の山々に登る人が増えて登山道も整備されると良いですよね。今度はブドウ沢から名号峰に行きたいと思ってます。今後ともよろしくお願い申し上げます。
HITOIKI
URL
2011/06/04 16:31
HITOIKIさん初めまして。拙ブログにコメントをいただき有難うございます。
貴HPを一部拝見させていただきました。なかなか精力的に山形の山々に登られていますね。
2月の番城山は霧氷に彩られて、素晴らしい雪山を堪能されたと羨ましく感じております。
雪の番城山では山頂はブナの森から一段高い白い丘という雰囲気ですよね。
二ツ森山を含めて地味な山域ですが、何時行っても静かな山を楽しめる貴重な山域とも思います。余談ですが金山峠の東側にある蓬沢山も蔵王が一望できるイイ山ですよ。
今後ともよろしくお願い申し上げます。
SONE
2011/06/04 17:23
SONEさん、こんばんは。
平成25年5月12日にSONEさんが帰路に使われたコースをピストンしてきました。ブログでも書かれてあるようにますます道は荒れているように感じました。積雪期に今度は歩いてみたいと思いました。
HITOIKI
URL
2013/05/13 21:56
HITOIKIさん今晩は。
私が歩いたときにも藪化が進んでいましたので、今回はその時以上に苦労されたでしょうね。
最後は稜線に上がらないで、残雪をトラバースして、直下の斜面を直登するのですよ。
SONE
2013/05/13 22:43

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2011.5.15 番城山(山形・蔵王連峰) 東北の山遊び/BIGLOBEウェブリブログ
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