東北の山遊び

アクセスカウンタ

zoom RSS 映画 『岳−ガクー』

<<   作成日時 : 2011/05/19 19:20   >>

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 3 / トラックバック 0 / コメント 12

石塚真一による、山岳救助を題材とした漫画作品『岳 』は、その評判の高さから興味を持って、古書店で少しだけ立ち読みした事がある。
主人公:島崎三歩は若くして世界の巨峰を登頂した後、日本での山岳救助ボランティア隊員を生業?にしているが、山屋的立場で読んで見ると、ベテランの山岳救助隊員を持ってしても絶対無理な単独での遭難救助を、三歩一人で易々と行うのを見て完全に引いてしまった。
しかし山を巡る人間模様は時に冷酷で、時にほのぼのとしていて、登山者や遭難者に対する三歩の明るい接し方には見るべきものがあると思っている。
以前話題となっていた漫画『人間交差点』に合い通じる人間ドラマが漫画の主題となっている点は評価できた。



今回鑑賞した映画『岳−ガクー』は、主役の島崎三歩 役に小栗旬。北部警察署山岳遭難救助隊の椎名久美 役に長澤まさみをキャスティングした漫画の実写映画化である。

シルベスター・スターローン主演の『クリフハンガー』みたいな、ハチャメチャの登山描写にならなければいいなぁ〜と思いながらも、北アルプスロケによる雄大な山岳風景を映画館の大画面で見たかったのだが、観た感想はまあまあの出来。点数は70点の映画かな。

画像



漫画を全て読んだ訳ではないが、お話しの内容は漫画の主要なエピソードを繋いで、最後の多重遭難の件からはオリジナルの脚本になっているらしい。
島崎三歩 役の小栗旬は全然合わないキャスティングでは? と感じていたが、漫画の大ファンと言う小栗旬は、何時ものクールでニヒルな役どころとは全く違った明るい演技でとても好感が持てた。


椎名久美 役の長澤まさみは山女&山岳遭難救助隊員としては線が細すぎ。
大分登山を習った様子は垣間見られるが、岩場や歩行のバランスの悪さは否めない。
県警の山岳遭難救助隊としては命令に絶対服従が二次遭難防止の絶対条件であるが、それさえも逸脱する事が見受けられて、余りいいキャラの感じは受けなかった。少なくても救助隊員が単純なミスで遭難しちゃ駄目でしょ。
しかし慣れない雪山ロケは女優として大変だったはずで、その頑張りには拍手を贈りたい。


他に長野県警察の山岳遭難救助隊チーフ:野田 正人役の 佐々木蔵之介と燕レスキューパイロット:牧 英紀役の渡部篤郎が重厚感ある大人の演技で脇をがっちり支えてくれていた。



映画の内容はネタばれになるのであまり詳しく述べないが、四季の北アルプスの山岳風景は山好きなら、それだけでもお金を払って観る価値は充分ある。
しかし奥穂高、北穂高、西穂高、涸沢が映っていると思っていると、次の瞬間に八方尾根の風景に切り替わったり、山を知っている人が見ると非常に違和感を感じるが、それは編集の都合でしょうがないのであろう。
個人的には『剣岳 点の記』で、リアルさを求める故に使わなかった空撮を多用しているのが逆に良かった。
奥穂高岳山頂に立つ三歩を空撮で撮ったシーンは凄い迫力。
『天地人』のオープニングで、八海山の岩塔に立つ直江兼継のシーン同様の印象に残るカットであった。



だが漫画の実写化特有の現実とは乖離した、無理のある場面展開には疑問が残る。
如何に三歩がラインホルト・メスナー的な超ド級に優れた登山家であったとしても、午後2時にナオタの学校の校庭にいた三歩が、爆弾低気圧が通過している大雪の悪天候の中を、カンジキも履かずに雪の斜面を走り登って、午後4時前に北アルプスの何処かの山頂に立てる訳がないでしょ!


氷河の無い日本の山岳地帯で、広い尾根の中段に、奈落の底を思わせるクレバスが存在し、それが映画の脚本の核になっている設定に無理があり過ぎ。
まして、そのクレバスの底に久美ちゃんが落ちているのを一切確認せず、アイスバイルとアイゼンの装備だけで、三歩が飛び降りて行くのは明らかに自殺行為ですよ。
山岳救助隊員が常に登攀のガチャ物をぶら下げて行動しているのにも興ざめでした。


更にどピーカンの雪山で常にサングラスしないで行動。これは絶対に雪盲になりますって。
逆に爆弾低気圧の猛吹雪の中でゴーグルや帽子もなしに行動しているし…
俳優の表情を見せたいのは分かるが、登山をやらない方に間違った登山の認識を植え付けないで頂きたいですね(笑)



と突っ込みところ満載の映画でしたが、山の迫力の映像に押されて全て不問。
漫画ベースのあり得ない展開の映画に文句を言ってもしょうがないですし、そんな事をさらっと流して鑑賞しないと映画は楽しめないですから…

この映画観て、少しでも登山に興味を持ってくれる若い人が増えてくれればいいですねー。
もう少し、遭難した登山者を深く描いてくれれば、人間ドラマとして深みが出たと思うので少し残念でしたが、映画として心に残る佳作だったと思いますよ。


予告編です。



テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ
気持玉数 : 3
なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー)

コメント(12件)

内 容 ニックネーム/日時
この漫画は食事時に何度か読んだ程度でした。確かに無理な設定(まあ、漫画ですから)ながら、お涙頂戴のヒューマンストーリーとして面白く読んだ記憶があります。
SONEさんのおっしゃる通り、山の景色を楽しんで山ガール山ボーイが増えることを期待します。DVDレンタルになったら見てみますよ。
morino
2011/05/19 20:23
morinoさん今晩は。
山好きなら漫画の『岳』は一度は目を通した事がある方が多いでしょうね。
漫画のスーパーマン的な主人公像が、実写でも継承されていましたよ。
単純なストーリー展開は海猿の山岳版と言った感じでしょうかね。
但し、山岳風景は映画館の大画面で見ると迫力ありましたよ。
個人的には加藤文太郎を題材にした新田次郎の『単独行』を映画化して欲しいですね。
SONE
2011/05/19 20:59
単独行は加藤文太郎で、孤高の人が新田次郎ですよね。
morino
2011/05/19 21:57
morinoさん今晩は。
間違いましたー(苦笑)
単独行は加藤文太郎で、孤高の人が新田次郎ですね。 
SONE
2011/05/19 22:12
>海猿の山岳版
 マンガの岳はチラ見した事しかないですが、なんとなく納得です。誤解というか勘違いもこまりますが、山への敷居を低くしてくれればいいですね。

 でもパイレーツオブカリビアンも見てみたいのです(笑)
tom
2011/05/20 22:30
tomさんこんにちは。
雄大な山岳風景を自在に駆け巡る三歩を見て、山歩きって簡単だと言う誤解が生まれる可能性もありますが、遭難死するエピソードの方が多いので、逆に山が異常に危険な場所と取えられる方も多いと思いますね。
私もパイレーツ・オブ・カリビアン 生命の泉も方が数段観たい映画ですよ(笑)
SONE
2011/05/21 11:26
この映画観に行くつもりです・・
内容はともかく・・景色に興味があって・・
漫画ですか・・読まないから・・
観たら又きますね・・私も岩手山で救助活動して
ヘリ要請とかの手配後・こちらも・二次遭難になるところ
でした・・その時は意外と冷静ね対処してましたね・・
ク〜もよく夜中歩いてくれました・
ク〜
2011/05/21 19:19
ク〜さん今晩は。
大画面で観る四季の山々は本当に臨場感ありますので、是非観に行って下さい。
遭難救助の方法などは見て見ないふりして、景色とヒューマンドラマだけを観ると結構面白いですよ。ク〜さんも遭難者のお手伝いをされたことがあるのですか。
夜中までかかっての下山は大変だったでしょうね。クーちゃんも疲れたでしょうね。
SONE
2011/05/21 19:32
Superb blog post, I have book marked this internet site so ideally I値l see much more on this subject in the foreseeable future!
mikerosss
URL
2011/05/23 05:55
>mikerosssさん、
Thank you with a bookmark.
SONE
2011/05/23 19:19
 あ゛ー、観ようと思っていましたが、そこまでヒドイとなると
引いてしまいます。そもそも、長沢まさみのようなカワイコちゃん
が山岳救助隊員なんて有り得ないしねぇ。

 でも、空撮を楽しむだけでも良さそうな気はしますね。
ファーマー佐藤
URL
2011/06/02 22:36
ファーマー佐藤さん今晩は。
映画の大画面に展開する北アルプスの山岳景観を見に行くだけでも、山好きにはお金を払って見る価値はあると思いましたよ。
但しCGを使った場面は、他の日本映画同様にチープさを隠せませんでした。
長澤まさみはスタイル抜群で可愛いのですが、あの細いのに何処が山岳救助隊なんだよーと突っ込みを入れたくなりました(笑)
SONE
2011/06/02 23:00

コメントする help

ニックネーム
URL(任意)
本 文
映画 『岳−ガクー』 東北の山遊び/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる