東北の山遊び

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zoom RSS 2012.9.2 葉山(山形・葉山)

<<   作成日時 : 2012/09/03 18:19   >>

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村山市の西方にそびえる葉山は最上,村山郡の農業神として信仰されてきた。
そして昔の出羽三山は,月山,羽黒山と葉山だったといわれているが、室町時代になり西川町大井沢の道智上人が湯殿山を開いてから,現在の月山,羽黒山,湯殿山が出羽三山になったとされている。
今回は大蔵村の肘折から祓川沿いに登る道である三本橋沢を遡行して、葉山奥の院まで登ってみた。

【 9/2 葉山:奥の院(1440m) 山形・葉山 】
三本橋口〜二俣〜1040m峰南〜登山道合流〜上流の二俣〜山ノ内コース合流〜御田〜葉山奥の院〜トンボ沼〜休みの松〜三本橋沢〜丸松〜三本橋口

西側に魅惑的な月山があり、高山植物にもあまり恵まれていないため葉山(村山)は何時行っても静かな山旅が味わえる山となっている。

葉山は古くは「羽山」で,村山平野の里近い端の山の意味で,神の来臨する山とされていた。
葉山神は貞観頃には勧請され,古い時代には岩手,宮城,福島にまで葉山信仰がひろまっていたようである。
江戸中期ごろ湯殿山が出羽三山に組み入れられ,その後江戸末期には葉山修験が衰微し三山から外れたと考えられている。
葉山への参道は古くは四通八達していたらしいが、現在の登山コースは山ノ内、シャム、岩野、畑、十部一峠、そして今回入山した三本橋コースが現存している。
三本橋の参拝道は先達料も祈祷料もいらなかったので、「盗み山」といわれ、正式の参道としては認められていなかったというが、現在の登山道とは異なるルートで奥の院に至っていたと思われる。


昭和49年版の山渓アルパインガイドを見てみると次の様な記述がある。
『(従来は中小屋跡、トコヤ沢、三本橋沢と経由して登ったが、今はわかりにくいから入らぬほうがよい。)
分岐を左へ、アラミ沢に沿った林道を進む。この道はやがて沢と別れて右へと山腹を巻いて行き、三本橋沢の手前の松丸(丸松)という地点に移る。ここまで車が入る。
ここから小道となり、すぐ下の三本橋沢へと下る。三本橋沢へ降りたらこれを真直ぐに上へ、沢を詰めればよい。
さて、三本橋沢は葉山山頂から一直線に下ってきている沢なので、道はないが沢の中を伝って行けばいい。
どんどん登り続けて行くと、沢は次第に細くなって、原始林のトンネルの中を、階段状の岩から岩へ、跳んだりよじたりして行く。展望は無く急で苦しい登りだが危険な個所はない。
やがて沢は二手に分かれる。右をとってまっすぐ進むとほどなく涸沢となる。沢はやがて小道状に、原始林は明るい灌木帯に変わり、左手からくる山ノ内登路と合する。』


上記のガイドは現在の登路と全く異なっている。
アラミ沢林道からの道は廃道となっており、三本橋沢の国道の橋の左手から入山する。
丸松を過ぎて、三本橋沢に出合った後、少し沢を登り左岸の急斜面の尾根に取りつく様に道が作られている。
登りつめると十部一コースのトンボ沼に出て、そこから奥の院は目と鼻の先である。

しかし昔の参拝道は上記の記述を総合的に判断すると、三本橋沢を忠実に遡行して山ノ内コースに出ていたと思われる。私自身、そういった古道に興味を抱く性質なので、今回のコースは以前から興味を持っていた。
沢装備も調達したし、古道なので危険個所も少なく、単独登山でも大丈夫と判断して出かけたのである。

夜に雨が降った影響で、葉山の山頂には厚い雲がかかっていた。
十部一峠は月山の大展望が得られる場所であるが、月山も雲の中。
手前の小岳までは見えている。
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国道458号線は大蔵村の肘折から寒河江市の幸生を結ぶ車道だが、豪雪地帯ゆえに冬期は通行止めになるし、1車線の細い道が延々と続き、一部では未舗装部分もある酷道と呼ばれる道である。
十部一峠から未舗装の道を下っていくと、北に進路が変わる先で出合った沢が三本橋沢で、登山口の標識も立っている。
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ここまでのアプローチは肘折方面からの方が楽であるが、肘折まで迂回する走行距離が半端じゃないので、前回も十部一峠を越えてやってきた。

沢装備を身につけて橋の脇から入渓。
概ね河原とゴーロ歩きが中心の沢が続く。ときたま出る淵も簡単に越えられる
イワナが走るが数は少なく、型は小さいとと感じた。
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やがて水量1:1の二俣に出る。左俣の方が森の奥に入っているので暗い感じ・・・
苔がついた岩が多くなってくる。
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一時だけ左手に登山道が並行する。その先もゴーロ状の沢筋が続く。
地形図を見て1040m独標の南側の沢筋が細くなっていたため、その場所に滝場やゴルジュがあると期待していたが、沢身が細くなって、両岸が灌木になった以外は変化なし。
しかし日当たりは良くなった分、花も多くなる。キツリフネが多く咲いていた。
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再び登山道が合流する付近は夥しい倒木地帯となっていて遡行に苦労する。
下山時に倒木の理由が分かったが、左岸からの雪崩が木々を根こそぎ折ったものらしい。

登山道が左岸の尾根に登っていく地点からは沢の傾斜がきつくなってくる。
少し登ると待望の滝が出てくる。落差6m程度の小さな滝で簡単に登れた。
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続いて二条の滝。右手の高いところから細い流れが落ちている。4m程度かな。
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この先も滝があるかと期待したが見事に期待は裏切られた。
またまたゴーロの小さな落ち込みが続く。
傍らにクガイソウが咲いていた。
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上部の二俣で休憩。左俣が本流で、右俣にはほとんど水が流れていない。
地形図で確認すると左俣は1388m三角点峰方面に向かっている。
右俣は直ぐ上で二手に分かれ、左を採ると最短距離で山ノ内コースに抜けられそうだ。

右俣に入ると左右からボサが被さって歩き難い。
完全に水は涸れてしまったが、どうも左に分岐する小沢を見落としたみたいで30mほど戻る。
ありました。薮に埋もれた小沢が・・・
更に沢の傾斜は増してきて、岩盤の滝も出てくるが、階段状なので楽に登れる。
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この少し先で三本橋沢の最初の一滴を見て水が無くなった。
傍らにはオクトリカブトが群生していた。
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やがて沢は小さな流水溝に変わり、ボサとネマガリダケが絡み合った薮になって歩き難くなる。
ときどき左右の薮の薄い所に逃げるが、直ぐに濃密な薮に跳ね返され、不確かな流水溝に戻ることとなる。
周辺は深いブナの原生林なのだが、豪雪地帯のこの地の林床はナマガリダケと低木のスクラムが凄い。

前方が明るくなった気配を感じると登山道に抜けだした。
山ノ内コースの最後の急登の手前であった。地形図で予定したルート通りの薮抜けであった。

登山道に出るとブユの大群に取り囲まれたため、沢装備のまま奥の院を目指す。
御田の草原はガスに包まれていて展望が利かない。
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山頂直下の鳥居のところで中高年のパーティとスライドする。
たどり着いた奥の院には誰もいなかった。
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午前11時になったばかりだが、早めの昼食をとる。と言ってもおにぎりとソーセージの侘しい食事であるが・・・
前夜の雨で濡れた木々の中を薮漕ぎしてきたので、休憩していると寒くなってくる。

激しく流れる雲の合間に、ときどき最高峰の大森山が姿を現した。
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沢装備をザックにしまい、重くなった荷物を背負って下山の途につく。
山頂付近のオオカメノキの実が赤く色づいている。
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トンボ沼から見る大森山は好きな風景の一つだ。
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ここから右折して三本橋に下る。標識には3.6kmと記載されていた。
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下り始めはかなりな急斜面。登山道自体のステップが薄く、慎重に降りていく。
この場所は月山の素晴らしい展望が得られる場所だが、結局この日は姿を見せてくれなかった。
でも肘折の高倉山方面(右の山)の展望は素晴らしかった。
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急坂が一段落するとヤセ尾根を歩いて行く。右手はざっくり切れ落ちている。
ここから先ほど登った三本橋沢の詰めの原生林が良く観察できる。左手の山は1388m三角点峰
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ヒメコマツが並木状に生えている尾根のところにあった標識。この場所だけ広い平坦地があった。
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三本橋沢が近づいてくると急なザレた登山道となりロープが張られたところも出てくる。
ここで単独の男性とスライド。このコースを登る登山者は珍しい。

沢筋は日当たりが良いので、夏草が伸びて登山道が不明確な場所があった。
あの倒木地帯を再び通過する。沢の対岸に出たところで少し休憩。
傍らにカメバヒキオコシの花が沢山咲いていた。この花が咲き始めると季節は秋である。
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斜めにブナ林を登って尾根を乗り越す。ここが丸松と呼ばれる場所らしい。
個人的には西側のこんもりした1040m峰が丸松と考えている。
このピーク、山頂にヒメコマツが何本も生えた目立つピークなのだ。

尾根を境にブナの植生からダケカンバの植生へと急に変わる。
緩やかに下るとアラミ林道への分岐に出るが、その道はほとんど廃道となっていた。
ダケカンバの森は吾妻の若女平を思わせる。
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あとは穏やかな登山道を登山口に戻るのみ。杉林を抜けると下に愛車が見えた。
帰路は再び十部一峠を通り寒河江市に抜ける。
午後になると天気予報通り晴れてきた。峠の先から登ってきた奥の院と大森山の姿が望まれた。
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今回のコースは沢ヤさんには遡行価値がなく、見向きもされないコースで、一般登山者にはルートファインディングと薮漕ぎ要素が強いのでお勧めできないコースである。
私みたいな古道好きの好事家にしか理解できないコースであったが、長年の懸案を片付けて大満足できた山であった。難所がほとんどない沢も珍しく、その意味で昔の参拝道であった理由がよく分かったのである。


GPS軌跡です。
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動画です。




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コメント(12件)

内 容 ニックネーム/日時
コメを頂いていた懸案の沢ルートでしたね。
4年前に歩いた時の状況は、三本橋沢から尾根に上がる所の分岐が、むしろ沢上流方向への踏み跡の方が明瞭で、尾根道は後で付けられたものという印象を持ちました。恐らくずっと以前には三本橋ルートというのはSONEさんが辿った沢ルートだったんでしょうね。
みいら
2012/09/04 08:00
みいらさんこんにちは。
長く温めていた沢ルートを歩けて満足いたしました。
現在の登山道は沢から強引に尾根に登っていますので、とても古くからの参拝道とは思えませんね。
今回歩いてみて三本橋ルートは間違いなく沢を忠実に詰めると確信できました。
SONE
2012/09/04 12:43
高山植物や色づいた木の実美しい清流、沢歩きは夏の醍醐味ですね。
一人で三脚をマメに立てながらよく撮っています。
ミニミニ放送局
2012/09/04 16:17
ミニミニ放送局さん今晩は。
東北の山は夏から秋へと急速に移り変わっています。
涼を求める沢歩きももうお終いに近いですね。
単独の場合は撮影できる自由度が高いので、三脚を立ててのんびり歩いておりますよ。
SONE
2012/09/04 17:49
葉山を沢から!
研究熱心ですねぇ〜(@_@)
ほとんどの山は、大小の差こそあれ沢が駆け降りています。登路としての沢は無限に有りそうですね。
私ももっと研究してみます。
Mt.racco
2012/09/04 18:30
十部一峠からは未踏です。
いつかは行きたいと思ってましたからこのコースを辿りたいですね。
さあ、お山も色づきはじめましたかね。(^o^)
マロ7
2012/09/04 19:56
Mt.Raccoさん今晩は。
沢登りとは言えないルートでしたが、沢靴は必携で持っていたからこそ登れたルートでした。
葉山は赤松川の遡行をした記録があるみたいですが、その他の沢は沢屋さんには手つかずのところですね。
有名な沢に集中しがちですが、こんな沢筋に伸びる古道探索も面白いものでしたよ。
SONE
2012/09/04 22:22
マロ7さん今晩は。
車2台で三本橋から十部一まで周回しても面白そうな感じです。
でも沢靴あれば今回のルートが楽しいですよ。
SONE
2012/09/04 22:24
うーん。と唸るような達人ならではのコースですね。
沢を歩けると楽しみが増えそう。
例のブツは近日ゲットしますよ。(笑)
morino
2012/09/04 23:44
 こんにちは、SONEさま そよ風です

葉山懐かしく拝見いたしました、過去の2回ほど行ってます。
畑コースでしたが、最初単独で行きました、誰にも会わず素晴らしいブナ達と
対話しながらの山でした、次の日は軽い山と考えて翁山に
翁山荘では、やはり一人で静かすぎるよると、宝石をちりばめたような星空と
蛍の乱舞で、素敵な夜を過ごしたのを思い出しました、

8/29はブナに逢いたくて、群馬の迦葉山、玉原湿原と歩いてきました
迦葉山は天狗で有名な弥勒時から登りゆっくり往復しても3時間もかかりません
お若い方はご存じないでしょうが?かつて連合赤軍がアジトにして残忍なな事件を
起こした山でも、天狗さん今でも怒っています 笑
玉原、尼が禿山は一帯は関東、群馬県でも有数のブナがみられるところですね
若い人に言わせれば、玉原は断然スキーだといいますが?
玉原湿原も小尾瀬なんて言われてますが?どこでの湿原も年々乾燥化が
進んでいるようですね?20年前よりはすこし??
どうぞ御体御慈愛ください
そよ風
2012/09/05 16:04
morinoさん今晩は。
ネットでは全く記録がない沢でしたが、難場がなくすんなり登れてしまいました。
沢=滝登りというスタンスではなく、沢装備だとこんな遊び方も出来ますね。
SONE
2012/09/05 22:30
そよ風さん今晩は。
葉山はほとんど人に会わない静かな山を楽しめますよね。
全てのコースで深いブナの原生林に出会えるもの魅力です。
翁山もまた渋い山で、そよ風さんはそんな山がお気に入りのようですね。
>玉原、尼が禿山は一帯は関東、群馬県でも有数のブナがみられるところ・・・これ聞いた事があります。
冬場は山スキーやスノーシューのメッカだとか。
やはり北関東になると植生が東北の山と似てくる様ですね。
そよ風さんもお身体大切にして山を楽しんでください。
SONE
2012/09/05 22:40

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2012.9.2 葉山(山形・葉山) 東北の山遊び/BIGLOBEウェブリブログ
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