東北の山遊び

アクセスカウンタ

zoom RSS 2014.5.23 箕ノ輪山(宮城・田代高原)

<<   作成日時 : 2014/05/25 22:49   >>

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 15 / トラックバック 0 / コメント 13

ロックフィルダムである二ツ石ダムの採石場となって山体が著しく削られてしまった箕ノ輪山に登ってきた。
この山は現在、福島第一原発の放射性廃棄物の最終処分場の候補地になって、地元で大反対が巻き起こっている山である。

【 5/23 箕ノ輪山(690m) 宮城・田代高原 】
採石地入口〜箕ノ輪山(往復)

環境省は東京電力福島第1原発事故で発生した県内の指定廃棄物を最終処分する候補地に選んだ栗原市と加美町、大和町に対し、地質調査などへの協力を申し入れている。
放射性廃棄物と記載せずに、指定廃棄物とごまかしている所に官僚特有の悪意を感じるが・・・

今回はその候補地の一つ、加美町の田代岳(箕ノ輪山)に登ってくることにした。
地元の合意を得られればボーリングによる地質調査が入ると言われていて、そうなった場合には登れる山で無くなるのを懸念していたのである。

写真は北東側から見た箕ノ輪山。
安達太良山の箕ノ輪山は有名だが、宮城県の箕ノ輪山は登る人もいない寂峰である。
画像


レポの前段で放射性廃棄物の最終処分場の候補地3カ所の現状と課題をまとめてみたい。
この3カ所はいずれも山間部の国有林である。
選定の基準をなったのは地すべりや地震などの自然災害の少ない地域、年間客数50萬以上の観光地を除く、そして集落や水源との距離、自然植生の少なさを考慮したらしい。
そして選定基準の骨格を決めたのが廃棄物処理や放射線などの専門家で構成される有識者会議である。

その候補となった地域を北から順番にまとめると。

◎栗原・深山嶽

栗原市深山嶽は、標高約520メートルの市営深山牧場西側に隣接する栗駒山麓の国有林で、約2キロ北に、2008年の岩手・宮城内陸地震でできた二本最大級の崩落地「荒砥沢地滑り」がある。約4キロ南西には同じく「浅布崩落地」をはじめ大小数多くの崩落地が点在する。
候補地内には、荒砥沢ダムに流れ込む小野松沢、花山ダムに注ぐ砥沢川がある。二つのダムは栗原市と下流の登米市の水源となっている。
 
◎加美・田代岳

加美町田代岳は箕ノ輪山の国有地の一部で、約3キロ南東の二ツ石ダム建設用の採石場だった。箕ノ輪山から二ツ石ダム、麓の集落までの道路はダム工事車両が通行できるように整備されている。
二ツ石ダムは鳴瀬川流域に農業用水の供給を目的に建設された。
「周辺は地滑りの危険性が高い地域だ」との指摘もある。近くの町営田代放牧場跡地には町内で出た放射性セシウム濃度が800ベクレル程度の汚染牧草の一時保管所がある。
 
◎大和・下原

大和町下原地区は、船形山山麓に位置する。
北側に陸上自衛隊王城寺原演習場(大和町、色麻町、大衡村)が隣接する。
周辺には、升沢、三畑の2集落があったが、演習場への沖縄駐留米軍の実弾砲撃訓練移転に伴い、砲撃の騒音を避けるため、それぞれ2000年、05年までに全戸集団移転した。
最も近い集落は約5キロ東にある沢渡地区。水源の湧水は西に約3キロ離れている。道路は船形山登山口に続く一本道が通り、県内水面水産試験場のほかに周辺に目立った施設はない。
演習場の着弾区域が北に約1.7キロと近く、10年には場内で着弾による火災も起きている。


私の個人的見解から言うと、3カ所の候補地は何処でも最終処分場の建設には適していないと感じている。
栗原・深山嶽については内陸地震により周辺地域は崩壊地と化し、以前の緑したたる山里の光景が失われてしまった。
栗駒山の火山灰が降り積もった地質の場所に処分場を作るなど狂気の沙汰と感じられる。

大和・下原については演習場の砲弾の誤射により放射性廃棄物の飛散が発生すr可能性はゼロではない。
仙台に住んでいても実弾砲撃訓練の遠雷のような騒音が聴こえてくるし、北泉ヶ岳から間近に見た砲撃の着弾の凄まじさは想像を絶していた。

そして今回登った加美・田代岳
過去にみみずく山に登ったとき、二ツ石ダムの建設工事中で、ちょうど箕ノ輪山の山体が切り崩されている最中であった。
故に現地は離れた場所からしか確認できなかったために処分場建設の可否判断は私的に難しいと思っていた。
その現状と私なりの見解は記事の中で述べたい。


寒風沢の手前から右折して二ツ石ダムに向かう。
車道の脇にはピンクのタニウツギが沢山咲いていた。
画像


道中のあちこちに最終処分場反対の幟旗が立てられている。
画像


途中で右に分岐する田代峠を越えて赤倉温泉に抜ける道は、除雪が終わり通行可能になったようだ。

舗装された道を箕ノ輪山に向かう。
車道の終点近くで多くの車が駐車し、TVや新聞などの報道関係の人が沢山いたのに驚く。
ちょうどこの日は地元加美町が候補地の調査を行った日であった。

地元の方々と少し話をした後に山頂を目指す。
道のないこんな山に登ると聞いて皆さん驚いたようだった。

踏み跡を辿って北側に巻いていくと残雪が残っていた。
その場所から大柴山と花渕山が一望できた。
画像


踏み跡は山頂方面に向かっていないので、途中から藪の急斜面を直登する。
笹と低木の絡まった気合の入った藪漕ぎの末に小笹に覆われた山頂に着く。
パイプ足場が正方形に組まれて、その中に四等三角点があった。
プラスチック製の珍しい三角点だった。
画像


非常に景色が良い山頂なのだが、南側は砕石により切り崩されていて覗き込むと怖い。
上から覗き込むと採石場はかなりな広さを持っていた。
画像


採石場内には加美町の調査団と報道の方々が小さく望めた。
画像


風が非常に強く、あまり崖の傍に近寄れないが、パイプ足場の脇に立って四周に広がる風景を堪能する。
南側には鬢櫛山(左)の姿が同定できた。
画像


一番目立つのは田代高原(翁山地)の盟主:翁峠である。
このアングルから翁峠を見たのは初めてで、とても新鮮な感じがした。
画像


そして元田代高原の奥に熊の宝庫と言われているみみずく山がある。
画像


みみずく山のアップ。
右手に禿岳の姿が確認できる。
画像


寒風沢からは切り立った岩場の山と見えていた大倉山であるが、この山頂から見ると平頂の山に見えてくる。
大倉山は山頂が豊かなブナ林に覆われた山だ。
画像


切り崩しの法面の際を西側に下っていく途中で採石場を見て驚いた。
採石場に溜まった水の排水溝の奥に二ツ石ダムが直線的に見えている。
地形図で確認すると、この山は二ツ石ダムの水源地で、その距離はたったの3kmしか離れていない。
画像


帰路は法面の際を通って比較的藪の薄い部分を下った。

未だに調査が行われている採石場の内部を見に行く。
サッカー場なら3面は取れそうな大きな空間が広がっていて、地形の関係か?この内部はかなりな強風が吹き荒れていた。
画像


強風の影響で排水溝下部の木々のほとんどが立ち枯れていた。
その奥に二ツ石ダムと薬莱山が見えている。
画像


地元の方々が強調していたのは、この採石場の岩質であった。
ダム建設の躯体には向かない凝灰岩質の岩がほとんどで、落ちている岩に触ってみると、白っぽくしかも脆い。
見た感じではグリーンタフの地質のような気がする。

このような地盤では山体崩壊しやすいし、地下水に放射性物質が浸透する危険性は高いと思う。
福島第一原発でも地下水の存在が把握できていないままに汚染水の流失が発生し大問題になった。
多少のボーリング調査だけで、この場所の地下水脈が全て明らかになるとは到底思えない。

放射性廃棄物の処分方法も現時点では全く受け入れがたい方法をとるらしい。
何でも地下埋設型のコンクリート構造とするとか。
馬鹿も休み休み言って欲しいものだ。
コンクリートの耐久年数はたったの60年である。
現にチェルノブイリの原子炉を封印したコンクリートの上物が劣化を招いて、放射性物質の拡散の恐れがあることは大問題になっている。昔作ったコンクリートの橋脚などが、現在莫大な予算を投じて補修している事例からも、コンクリートが安全とはとても言えない。


何故この処分場建設の所管が環境省なのか疑問であるが、国土交通省のつけを回された格好なのであろう。
しかし候補地をリストアップする場合でも、官僚自身が現地調査に赴いて、机上の理論でない現場の確認が必要である。

更に本日分かった事は立地市町村に対して10億円を交付する方針だとか。
正に馬鹿にするな!としか言えない。

有識者会議は最初に結論ありきの出来レースで、その体たらくは集団的自衛権の独自判断を導き出した手法と一緒だ。
また10億円の端金で未来に渡る風評被害に対しての保障金としては全然足りない。
恐らく処分場建設が決まったときから風評被害によって農作物の価格は激減するのは必至。

但し複数の自治体が求めている特別立法による交付金制度や、すべての風評被害に対する補償制度は金欲しさで賛同する人と反対する人の対立を生む原因となりえる。
このままだと札束で横っ面をぶんなぐるに等しい、官僚独特の飴と鞭の二者択一を迫ってくると思われる。
これで金の問題で地域の住民の賛否が二分し、コミュニティが壊されてしまう事例は数多い。

はっきり言って今回の放射性廃棄物の処理は付け焼刃の安価な最終処分場建設では問題が多すぎると思う。
莫大な予算を投じても、地下数キロに大きな保管場所を作り、それを未来まで封印する覚悟が必要であろう。

現自民党政権は国民の反対を押し切って各原発の再稼働を目論んでいるが、原発の発電コストを使用済核燃料と原発廃炉のコストを積み上げて計算すれば、とてもコスト的にペイする発電方式と言えないのは明らかである。
未来の世代に莫大なつけを強いるのは、将来的に無能な政治家の評価をされるのと同義であると何故理解できないのか?

二ツ石ダムから箕ノ輪山を眺めた。
写真では遠く見えるが、肉眼では非常に近い位置に山頂が見えていた。
はっきり言う、官僚や所管の大臣はこの候補地を机上の理論ではなく見に来いと。
画像



動画です。






テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ
気持玉数 : 15
なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー)
ナイス ナイス ナイス ナイス ナイス
驚いた 驚いた
面白い

コメント(13件)

内 容 ニックネーム/日時
元田代高原に行ってみたいですなぁ〜。
そして羨望のみみずく山、いろんな伝説があり魅惑のお山。
そうそう、この処分場問題。どこでも迷惑施設は敬遠するんですよね。
でも、現にある物質は処分しなけらばならない。
原発の再稼働、震災後停止してても乗り越えてきた電力、でも余裕がないのか。
もっと、節電意識をもってすれば原発依存も低下するのだはと思うのですが。
さて、宮城の処分場問題、候補地の3ヶ所が反対しても何処かにつくらなければならない。
別候補地があがっても色んな理由付けで反対するだろう。
空論ですが、最終的には宇宙に放出しかないでしょうかな。
マロ7
2014/05/26 07:07
マロ7さんおはようございます。
この界隈は道はないですが面白そうな山がごろごろ存在していますね。
みみずく山も意外に東側の展望が良く、今の時期にはシロヤシオが沢山咲いていましたよ。
現状、宮城県内の放射性廃棄物は確か3000トン以上あるらしいですが、野積のままになって仮置きされていますね。
その処分は何れやらなければならないのですが、今回の候補地の選定は安直な感じを否めません。
何処に建設しようとしても大反対運動が必至ですから、この際は各市町村の土地以外、例えば大陸棚に大規模な処理プラントを建設し、処理したものを深海底に沈めるなどの方策の方が良いと思いますよ。
あれだけ電力不足と騒いだ挙句に全く足りていたのはナンセンスの極みでしたね。
火力依存では電力コストがかかって電力会社が赤字になるのを防ぐ方便だったと感じています。
SONE
2014/05/26 08:00
違った切り口の山レポ、興味深く拝見しました。
処分できないものを、もう生産してはいけませんね。
みいら
2014/05/27 14:40
みいらさん今晩は。
地元のニュースではこの二日間は上記の問題で持ち切りでしたよ。
ある意味タイムリーなレポになりました。
>処分できないものを、もう生産してはいけませんね。
正にこれが正論ですね。
SONE
2014/05/27 22:22
便利な生活には歪みが付いて回りますが、それを解決するためには享受したみんなで知恵を出さなければいけませんね。
この頃は知恵を出さずに数値と札束だけで解決しようとするお上の姿勢が目立ちます。あっ、昔からか。
未来はいったい・・・
morino
2014/05/28 20:45
morinoさん今晩は。
原発の専門家の言う安全は、僅かでも危険性が内包されていると同義にとらえた方が良いでしょうね。
一市町村にだけ負担を強いるやり方で受け入れを表明できる行政のトップはいないと思います。
また金で解決しようとするのでしょうね。
SONE
2014/05/28 21:50
加美町のものです。言いたいことを全て代弁してくださったようなレポートで,とてもほっとしました。こんな中で内輪もめしているわけにはいかないと思いつつも,地元では,町の議員の中に町全体ではなく自分の利権を基準に判断している人も少なくないという現実に,もどかしい思いをしています。
miko
2014/06/18 19:38
mikoさん初めまして。
実際に現地を見た上の感想を率直に述べました。
しかし本文でも書いてある利権の対立が出そうな感じですか。
下手な風評被害より後に禍根を残すのはこの点ですよね。
もっと将来を見通した政治をやって欲しいものですね。
SONE
2014/06/18 22:45
「率直な感想」であることが,嬉しいです。憂いなく,山を見上げたいものです。
今回のことは(も)まさに結論ありきで,議論の余地なし。“これまで”と同じようにいかにうまくそこにもっていくかということに価値が置かれ,きちんとモノを言う方が疎ましがられ・・・。このようなセイジ?がまかり通るところが,一番悲しいのですが,この現状をちゃんと見てくださっている方々がいらっしゃることが励みになりました。
miko
2014/06/19 22:00
mikoさん今晩は。
あまり影響力のないブログですが、今の放射性廃棄物の扱いを憂いて記事を書かせてもらいました。
日常見上げている自然豊かな山に放射性廃棄物が未来永劫保管されているのは、そこに住む人々にとって精神安定上よろしくないと思いますよ。
最終的には県内三か所のどこかに施設が作られてしまうでしょうが、金で故郷の春をひさぐ行為は、そり過疎化を生み出していく構図になると感じます。
SONE
2014/06/19 22:13
初めまして。
加美町の最終処分場候補になってしまっている田代岳の画像を探していて、たどり着きました。

二ツ石ダムから見た田代岳の画像(ここの前のブログでしょうか)が、今加美町が大崎平野の水源であることを反対の理由のひとつにしていること素晴らしく表現できると思い、私が関わる機関紙に使わせていただきたく、連絡させていただきました。

他に直接連絡を取るいい方法はありますでしょうか。

よろしくお願いいたします。
takano
2014/08/06 13:14
takanoさん初めまして。
コメントをいただき有難うございます。
私の連絡方法ですが、このブログのトップページの左サイドバーに山行記録一覧表があります。
その下部にある当ブログの注意点をクリックしていただくと、一番下のところに私のメルアドが表示していますので、そのアドレスでメールを頂ければOKです。
SONE
2014/08/06 21:11
SONEさま
早速のお返事、ありがとうございます。
では、そちらで改めてお願いに上がります。
takano
2014/08/06 21:20

コメントする help

ニックネーム
本 文
2014.5.23 箕ノ輪山(宮城・田代高原) 東北の山遊び/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる